2025年国際博覧会(万博)の開催地が、大阪に決定した。日本政府と大阪府・市が手を携え、4年前からめざしていた誘致活動が見事に結実したわけだ。 大阪での万博開催は1970年以来、55年ぶりとなり、地元をはじめ日本全体に与える経済的メリットに大きな期待がかかる。 ── そもそも万博とは何なのか、大阪誘致の背景とその経済効果、そして今後の課題などについてまとめてみた。
【課題1】財源
2025年大阪万博では、会場整備に約1250億円以上がかかると見込まれている。
これは国、自治体、経済界で3分の1ずつ負担する予定というが、その具体的な負担方法はまだ決まっていない。特に経済界が負担する予定の約400億円については、理解が得られるかどうか不透明な状態だ。
国、自治体、経済界の三者はこの財源のために、1970年大阪万博の収益金を運用している「日本万国博覧会記念基金」、約190億円を充てることも検討している。
また会場設備費とは別に、これまでほとんど活用されてこなかった夢洲への交通インフラの整備が必要だ。このため、地下鉄を夢洲へ延伸したり、道路を拡張したりするために約730億円かかると見込まれている。この財源も、どのように捻出するのかは今後の課題だ。
【課題2】開催後
万博は約半年という期間限定イベント。会期中は盛り上がったとしても、閉会後の景気の落ち込みが心配される。実際、1970年万博の後も関西経済は落ち込んだといい、今回もその二の舞になるのでは、と心配する人もいる。
大阪府・市は、万博後の夢洲地区に、カジノを含む統合リゾート(IR)を誘致したいと考えているようだ。しかし、これに対しては住民からの反対の声も多い。
【課題3】関心の低さ
中高年にとっては強烈な印象が残る1970年大阪万博だが、現代の若者たちにとっては「万博ってなに?」状態。個々の嗜好・興味が細分化されている現代において、「国際博覧会」というカテゴリーが多くの人の興味・関心を引くかには疑問が残る。
実際、2000年のドイツ・ハノーバー万博は、2025年大阪万博とほぼ同規模での開催だったが、来場者は約1800万人で約1200億円の赤字となった。近年開催された他の万博も、2010年の上海万博を除き、多くは2000万人前後の来場者数にとどまっている。
課題のクリアで国民的理解を
思えば、2020年東京オリンピック・パラリンピックも、誘致決定前はそれほど国民の関心が高かったわけではない。しかし2020年が近づくにつれ、国民的な関心がどんどん高まっていることを実感できるようになっている。
これと同じように、2025年大阪万博も、国民的関心を高めるのはまだまだこれから。今後、さまざまな活動を通して世論を盛り上げていくことが必要だろう。
そのためには財源確保をクリアな形で行い、そしてまた閉会後のビジョンなども明確にして、国民の不安材料を一つずつ取り除く努力が求められる。
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