2025年国際博覧会(万博)の開催地が、大阪に決定した。日本政府と大阪府・市が手を携え、4年前からめざしていた誘致活動が見事に結実したわけだ。 大阪での万博開催は1970年以来、55年ぶりとなり、地元をはじめ日本全体に与える経済的メリットに大きな期待がかかる。 ── そもそも万博とは何なのか、大阪誘致の背景とその経済効果、そして今後の課題などについてまとめてみた。
のちの携帯電話開発につながったワイヤレスホン、現在では当たり前のように稼働している動く歩道なども、この万博で初めて展示されたもの。また、会場内で売られたハンバーガーなども、その後若者の間にまたたくまに広がった。
その後の日本の姿を変えたさまざまな最新技術や風俗が、この大阪万博をきっかけに日本に広まったのだ。
2025年大阪万博でも、そんな大成功をおさめることはできるだろうか。
2025年大阪万博の構想は?
2025年大阪万博は、大阪市湾岸部の人工島「夢洲(ゆめしま)」の約155ヘクタールが会場となる。大阪市が開発に失敗し、長く使い道に困っていた土地で、万博ではこの「負の遺産」がようやく生かされることになった。
会期は2025年5月3日〜11月3日。世界150カ国が参加し、期間中には世界中から2800万人の来場者を見込んでいる。
テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。
会場内には各国パビリオンが立ち並ぶほか、5カ所に「空(くう)」と呼ぶ大広場が設置されるという。そこでは拡張現実(AR)・複合現実(MR)技術を活用した展示やイベントを行い、来場者の交流の場とするとしている。
もちろん会場のデザインや展示内容の詳細についてはこれから決められていくことだが、仮想現実(VR)や人工知能(AI)などの最新技術が世界にアピールされる博覧会になると予想されている。
2025年大阪万博の経済効果は?
2025年大阪万博が全国に与える経済波及効果は、約1.9〜2兆円と試算されている。
内訳は、会場建設費が約4000億円、会場管理や出展に関する費用が約4000億円、来場者による飲食や宿泊費用などの消費支出が約1兆1000万円などとなっている。
そもそも大阪が万博誘致に乗り出したのは、関西経済の低迷が要因だ。
国内総生産(GDP)に対する関西地方の割合は、1970年万博の時で19.3%。ところが2015年は15.2%にまで落ち込んでいる。これは名古屋市を中心とした中部地方にも劣る数字だ。
また、2017年までの10年間で大阪から転出した企業は2263社、転入したのは1515社(帝国データバンク調べ)と、企業の大阪離れも進んでいる。万博を機に大阪府・市は、「負の遺産」となっていた夢洲地区に、国内外を問わず多くの投資を呼び込みたいと考えているのだ。
2025年大阪万博の課題は?
2025年大阪万博誘致によって、関西経済は活性化するだろうか。
万博開催のための課題も山積しているが、ここでは主な3つを紹介しよう。
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