2025年国際博覧会(万博)の開催地が、大阪に決定した。日本政府と大阪府・市が手を携え、4年前からめざしていた誘致活動が見事に結実したわけだ。 大阪での万博開催は1970年以来、55年ぶりとなり、地元をはじめ日本全体に与える経済的メリットに大きな期待がかかる。 ── そもそも万博とは何なのか、大阪誘致の背景とその経済効果、そして今後の課題などについてまとめてみた。
そもそも万博って何だ?
万国博覧会(万博)の正式名称は「国際博覧会」。国際博覧会条約(BIE条約)に基づき、複数の国が参加してさまざまな展示を行う博覧会のことだ。
その時代の最新技術が発表・展示される場で、技術革新が急速に進化するとともに、世界各国から来場者が集まることなどから、大きな経済効果も期待される巨大イベントだ。
第1回万博は1851年にロンドンで開催された。18世紀末から始まった産業革命によって生まれたさまざまな工業技術などが展示され、大成功をおさめたとされている。
その後1853年のニューヨーク万博ではエレベーター、1878年のパリ万博では蓄音機などが初めて展示され、そして1889年のパリ万博ではエッフェル塔がシンボルとして建設された。
150年以上昔から万博開催をきっかけに、現代に通じる技術革新が進んできたわけだ。
1867年のパリ万博には、江戸幕府や薩摩藩からの出展もあったというから、日本人も古くから万博への興味を持っていたことが分かる。
4年間の誘致活動は国と地元の総力戦
現在、万博の開催地は博覧会国際事務局(BIE)の総会で決定される。2025大阪万博は、2018年11月23日にパリで行われたBIE総会で決定した。
大阪万博は、2014年、当時の橋下徹大阪市長と大阪府の松井一郎知事が誘致を発表。低迷する関西経済を活性化させる起爆剤となると、日本政府に協力を求めたことに端を発する。政府も、2020年の東京オリンピック・パラリンピック後に予想される景気低迷の打開策の一つとして誘致に乗り出し、地元自治体、財界などと連携して誘致を勝ち取った形だ。
この4年の過程で、各国への訪問や招致などのために約35億円とも言われる経費を使い、また開催時には途上国などに約240億円の支援を計画しているという。
1970年大阪万博は、空前の大ヒット!
中高年世代にとって大阪万博といえば、すぐに1970年が思い浮かぶはずだ。
「人類の進歩と調和」をテーマに、大阪・千里丘陵で開催された万博だ。シンボルは岡本太郎製作の「太陽の塔」。最近、内部が復元されて公開されるなど、今なおその人気ぶりは健在だ。
1970年大阪万博は、約半年間の期間中の来場者数は約6400万人を数えた。これは2010年の上海万博(来場者数約7300万人)に抜かれるまで史上最多の来場者記録となった。高度成長期の日本の勢いそのままに、まさに戦後復興の総仕上げとも言える大成功博覧会となった。
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