今回の文化放送・The News Masters TOKYO「マスターズインタビュー」は、ウミーベ株式会社CEOのカズワタベさん。国内最大級の釣りの総合情報サイト「ツリホウ」や、釣った魚を共有して釣り人同士で交流できるスマホアプリ「ツリバカメラ」などの開発・運営をしている。 起業の願望がありつつも、音大へ進んだというカズワタベさん。 これまで、意欲むき出しで攻めの姿勢を貫く経営者が多く出てきたこのマスターズインタビュー。 しかし、今回は将来的なビジョンや方向性は持ちつつも、どこか緩さも醸し出す異色のタイプとしてタケをはじめ、我々スタッフの目には映った。 そんな彼の持つ「起業論」はどのようなものなのか? The News Masters TOKYOパーソナリティのタケ小山がぶつける。
起業を目指す人へのアドバイス
タケ:
起業したい人へのアドバイスは?
カズ:
起業した後も色々あるので、自分の中での成功のイメージを持っているか。例えば、ウミーベはクックパッドに買収されたが、他にももっと大きい会社を目指すという選択肢もありました。
こういった基準がないとずっと苦しくなる。
「自分のペースや考え方をはっきりさせた方がいい」というのがカズワタベさんの「起業論」だ。
その中で業務内容も、好きなことをやるか、儲かることをやるのか。それも含めてスタンスを決めないと成功しても不幸になるかもしれない。
ウミーベもまだまだ成長させないといけないフェーズではあるが、やっていて楽しいのは間違いないという。
自分で決められるからこそ、スタンスが明確になっていないと逆に何も決められない。そこが一番大事。
タケ:
成功には失敗はつきもの。失敗についてはどう思う?
カズ:
スタートアップはほとんど失敗。ウミーベが成功かと言われたら、諸手を挙げて成功とは言いづらいです。
起業はもちろん、楽ではない。カズワタベさんの周りのコミュニティでは、ひっそりと退場する人、1~2年でなくなる会社もある。
成功した人はメディアで話す機会がたくさんあるものの、失敗する人はあまり話さないので、みんな感覚的に成功側だけを見ていることになる。
起業家のコミュニティにいると、失敗している人はいくらでもいて、今成功している人も過去に何回も失敗していることが多く、カズワタベさんの仲の良い起業家には現在5社目と言う人も...。カズさんは起業家に必要なのは「体力と図太さ」だという。
クックパッドの買収が意味するもの
ウミーベは8月末にクックパッド株式会社に買収され、子会社となった。
カズワタベさんにとって、これはゴールなのか?それとも道半ばのことなのか?
タケ:
これは、望んでいた買収ですか?
カズ:
単独で上場まで行けたら、それはそれでいいだろうし、かといって『絶対上場するぞ!』みたいな起業家でもないので。
「絶対上場するぞ!」という強い意気込みは全然なく、むしろ世間的には上場しない会社がほとんどで、さらに言うと中小企業のままやっていたり、ウミーベのように買収されるという形を選ぶ企業もある。
アメリカのシリコンバレーだと9割近くイグジットの形が買収になるという。
タケ:
買収は嬉しかったですか?
カズ:
はい。特にクックパッドというのが嬉しかったです。インターネット黎明期からウェブサービスの中では圧倒的にユーザーに対して価値を提供できていて、ウミーベが将来実現したいようなサービスの形態が近く、企業のイメージもすごく良い。いろんな企業さんとお話をしましたが、文化として一番マインドが近い会社だと思いました。
同じITという共通点があるとはいえ、扱うものは釣りから料理へと変化する。クックパッドは何を彼に望むのだろうか?
カズ:
買収されて、ウミーベの代表をやりつつ、クックパッドの新規事業立ち上げもやることになりました。既存事業はもちろんですが、自分のサービス立ち上げの能力を買われた部分もあったと思います。
経営者の中でも、メディアでよくみるIT系の起業家と言えば、野心に溢れ、時としてギラついた印象を与える。
カズワタベさんは常に落ち着いた語り口のお兄さんという、これまで見てきたIT系の起業家とは一線を画すイメージであった。
音楽大学出身の異色の経営者は今、新たな海で、新規事業という名の魚を釣り上げようしている。
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