リカレント教育とは生涯教育、つまり生涯にわたって学び続けるということだが、ここへきて社会人大学など、話題としてはかなりの盛り上がりを見せており、実際に一般の社会人が通える教育施設が増えてきているという。
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「企業における資格・検定等の活用、大学院・大学等の受講支援に関する調査」によれば、「従業員の大学院、大学、専修学校・各種学校等の民間の教育機関での受講に対し、支援等を行っているか」という質問に対して、「業務 命令の受講はないが、会社として支援」という回答企業が13.4%。従業員規模別では、1000 人以上企業で28.7% と1000人未満の従業員規模企業の 3 倍近くに達しているという。
大手であったとしても、3割近い企業しか、なんらかの支援をしていないことになる。中小企業や小規模企業にいたっては、想像通りの結果なのだろう。
しかし、同調査では、従業員がこうした機関で受講することについての評価も調査しており、すべて企業の4割弱の企業しか「評価は特にない」と回答していない。受講の支援を行う企業の少なさからすれば、逆に、何らかの評価をする企業の多さに驚く。
何らかの評価として最も多いのは、「従業員が幅広い知識を習得することができる」(34.5%)で、以下「担当業務における専門性を高めることができる」(34.2%)、「従業員のやる気を高めることができる」(22.5%)、「従業員の資格取得につながる」 (20.8%)と続く。「受講が、仕事上の成果につながっていない」、「受講した従業員は、離職しやすい」というネガティブな答えはごくわずかだったという。
つまり、受講自体を会社として支援はしないが、知識・スキル面、モチベーション面、双方において、評価はしているということになる。
欧米と日本の違い
欧米では早くから普及したリカレント教育だが、これは、日本との労働環境の違いが大きな原因だろう。
日本はなんといってもずっと終身雇用が続いてきた。極端な言い方をすれば、特に外で新たな知識を得ても得なくても、出世に多少の違いはあるとはいえ、雇用自体に影響を与えることはまれだった。定年まで勤めあげるのが、もっともポピュラーな生き方だった。
それに対して欧米では、労働者のビジネス・スキルが通用しなくなったときに待っているのは、解雇であり、企業自体の倒産だ。ドラッカーも言うように、会社の寿命よりも労働者の労働寿命の方が長いのだ。
そうなると、次から次へと時代に即したスキルや知識を身につけないと、正当な労働ができなくなってしまう。こうした土壌がリカレント教育を発達させる要因となったものと思われる。
日本でも、ようやく、働き方の多様化が進み、終身雇用ではない働き方が増えてきた。自分で自分のやりたい仕事を選べるようになったわけだ。
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