高級スーツの老舗、銀座英國屋の三代目社長・小林英毅さん。 「全く継ぐ気はなかった」にもかかわらず25歳で英國屋に戻り、その3年後には社長就任。 「社長は組織の一番下」と語るほど社員を大事にする若きリーダーは、老舗企業の経営をどのような理念で取り組んでいるのか。 文化放送「The News Masters TOKYO」のパーソナリティ・タケ小山が「スーツ選びの基準」とともに話を聞いた。
その信頼を得るための一つの大きな手段として「どのようなスーツを着るべきか」を考えなければならない。
「今、これが流行りですよ」とか「この形、おしゃれでしょう?」「モテますよ」なんていう言葉をかけられてその気になって選ぶ人も多いが、ビジネスシーンで着る場合には「仕事にとって必要な要素なのかどうか」だけを考えるべきだ。
「オシャレでモテそうなスーツは、デート用に選ぶならいいんですが、たとえば上場社長に会いに行くときにふさわしい恰好だろうか?と考えていただきたいんです」
大切なのはTPOだ。英國屋では、スーツを作りたいというお客様からじっくり時間をかけて話を聞き、個々の状況に合わせてそれぞれの目的にふさわしい仕上がりを提案している。
「スーツは、そういう大事な役割を果たしてくれるのか」と感心しきりのタケ。ただ、これだけはどうしても聞いておかねばと、少し口ごもりつつも真正面から質問を投げかけた。
「英國屋のスーツは、やはりかなりお値段が張りますよね。存在は知っているけど、なかなか足を踏み入れられないというのが正直なところです。新しいお客さんはどういうタイミングでいらっしゃるんですか?」
この質問に対してまずは「すみません」と謝りつつ明るく笑う小林さん。
「入店しにくいというのは、よく言われます」
ただ、最近ではギフトカードがきっかけでのお客様が増えているという。
「ご昇進のお祝いや役職へのご就任祝いにギフトカードをもらったので、と、とても嬉しそうにいらしてくださいます」
これは、実は贈る側にも素敵な体験となる。
「ギフトカードがきっかけで英國屋のお客様になってくださった方がみなさんおっしゃるのですが、そのあともずっと『あのとき、誰々さんからいただいたのがご縁だったな』といつまでも忘れない、一生涯の嬉しい記憶として残るようなんです」
贈り物というのは、特にビジネスシーンにおいては難しいものである。相手の趣味嗜好もよくわからないし、金額の妥当性もある。
ちなみに、英國屋のギフトカードはワイシャツなら2万円くらいから購入できるとのこと。フルオーダーなので、趣味嗜好はご本人におまかせできる。作ったときの喜びだけでなく、それを身につけた時の気持ちの華やぎまでも贈ることができるのだ。長い年月をかけてこれからもずっと人間関係を深めていきたい相手へのプレゼントとして覚えておいていいかもしれない。
「僕にも、贈りたい相手の顔がいくつか浮かびます。僕に贈りたい!と思ってくださる人も、今後現れると嬉しいな」と期待と夢が膨らむタケであった。
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