2018年3月期決算の上場企業において、1億円以上の役員報酬を受けた役員=“1億円プレーヤー”が、史上初めて500人を上まわり、過去最多となった。 なんとも景気のいい話だが、この数値は日本経済は企業の業績が徐々に上向き、緩やかに回復基調を示していることも示唆している。 しかし、多くのサラリーマン、OLの平均給与はまだまだ頭打ちという状況が続く中、“1億円プレーヤー”が増え続けているのはなぜなのだろうか。今回は、その背景について考えてみよう。
ビジネス界における、“1億円プレーヤー”の数は右肩上がり
プロ野球の世界では、1億円プレーヤーといえば一人前の証。しかしビジネス界において年収1億円となると、まさにほんの一握りの天上人だ。一般的なサラリーマンの生涯賃金は2億5000万〜3億円と言われているので、一介のサラリーマンが目指すのもおこがましい数字といえるのではないだろうか。
しかし近年、ビジネス界の1億円プレーヤーが増加し続けているという。
東京商工リサーチが2018年3月期の役員報酬の開示についてまとめた調査によると、6月29日までに1億円以上の役員報酬を受け取った役員は240社、538人にのぼった。これは前年より企業数で17社多く、人数で72人増加したという。
そもそも役員報酬1億円以上の個別開示は、2010年3月31日に施行された「企業内容等の開示に関する内閣府令の改正」によって開始されたもので、2018年3月期で9回目となる。
上場企業は、年間1億円以上の報酬を得た取締役などの役員がいる場合、全国各地の財務局に提出する「有価証券報告書」で、情報を個別に開示するよう義務づけられている。役員報酬の透明化を図ることで、「コーポレートガバナンス(企業統治)」の強化につなげることが狙いだ。
これにより、ビジネス界の1億円プレーヤーがどこの企業の誰で、いくらの報酬を得ていたかがわかるようになったというわけだ。
グラフを見てわかる通り、2010年3月期には289人(166社)だった1億円プレーヤーも、
●2013年には300人を突破
●2015年には400人を突破
●2018年には500人を突破
つまり、9年でおよそ1.85倍に増加したことになる。高額所得の上場企業役員は、右肩上がりで増加しているのだ。
最高報酬は27億円超! これでも歴代5番目
さて、2018年3月期の役員報酬ランキングは表の通り。
1位はソニーの平井一夫会長だった。報酬額は27億1000万円で、前年の約9億円から3倍に増え、大きく順位を上げた。これは、代表執行役社長兼CEO(最高経営責任者)から代表権のない会長に退き、退職慰労金が上乗せされたことによる。この報酬額は歴代5番目に高いという。同社の吉田憲一郎社長も9位にランクインしている。
トップ10に4人がランクインしたのはソフトバンクグループだ。2位にロナルド・フィッシャー副会長、3位にマルセロ・クラウレ副社長兼COO(最高執行責任者)、4位ラジープ・ミスラ副社長、そして10位に宮内謙取締役だ。好業績を背景に、高額報酬が目立つ。
ちなみに、2017年のトップはソフトバンクグループの元副社長のニケシュ・アローラ氏で、約103億円だった。
次のページ優秀な経営者確保のために、ますます報酬は高額化へ
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26