大企業と小規模事業者との格差が広がるばかりだ。イノベーションはむしろ小規模事業者から起こるのであって、小規模事業者こそ日本の成長のタネだ。
顧客への情報発信の手段が変わってきたのは明らかであり、かつてのように予算にまかせたマス広告に大きな効果が望めなくなった今、市場を絞り込み、自らのポジションを確立することは、今すぐにでも取り組むべきことだ。
実際に、活躍する小規模事業者において、「小規模企業白書」の「自社の強みと感じること」を見ても、「小規模事業者は自社の事業内容のどこに強みと感じるのか」いう点について、「顧客との信頼関係が強い」「製品やサービスの質が高い」「受発注や顧客要求等への対応が迅速である」ことを強みとしていると答えた事業者が多い。つまり、自社の戦略が明確だ。
小規模事業者が取り組むSTP戦略(「セグメンテーション」、「ターゲティング」、「ポジショニング」)とは以下のような内容だ。
セグメンテーション
市場をセグメンテーションするといっても、大手企業のように、人口動態や俯瞰的なライフスタイル動向を見ていこうというものでもない。
たとえば、旅館・ホテル・宿泊施設をターゲットに絞るといっても、それは大手企業のものであり、小規模事業者であれば、そこからさらに、地域や規模、スタイルや嗜好、業績、ブランドの方向性など、様々な要素を考えて、その市場に対して自分たちの経営資源を十分に投下できるレベルにまで細分化していくことが必要となる。
ターゲティング
セグメンテーションが終わったら、その中でターゲットとするべき対象を決める作業がターゲティングだ。
どれだけセグメントしても、そのセグメントしたところが成長性も規模感もなければ意味はない。自分たちが収益を上げ、成長できるセグメント先である市場であり、かつ、自分たちの強みが発揮できなければならない。
このターゲティングをするうえで、次の2つのアプローチを考えるといい。
・いくつかの市場(企業)に向けて、共通のニーズに対応した同様のサービスやソリューションを提供する方向
・決め込んだ市場(企業)に向けて、より深い個別的なニーズに対応した、高付加価値商品やソリューションを提供する方向
いずれにしても、これまでとは異なる顧客ニーズや新たなサービスをいかに見つけ出すことができるかがポイントだ。
ポジショニング
最後のポジションニングは、顧客にとって、自分たちのサービスがどのような位置づけであるのかを決める作業だ。
ポジショニングの代表的な例としては、「価格」と「品質」の2軸によって自社商品がどの位置に位置づけされるのかをマッピングするものがあるが、ここはぜひ、ユニークな機軸を考えてほしい。「顧客に提供できるメリット」と「リスク」、「競合商品の有無や強弱」と「機会と脅威」、「将来性」と「現実性」、ユニークで楽しい、自由な軸は、新たなソリューションにつながることだろう。
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2018.09.16