今回のインタビューのお相手は、国民的漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」の4代目編集長、後藤広喜さん。少年ジャンプの創刊時から編集者として携わっていた後藤さんは、1986年〜1993年の黄金期に編集長を務めた。 前編(https://www.insightnow.jp/article/10143)では、創刊当時の状況や編集者として駆け出しだったころの話を聞かせてくれた。 今回は、『The News Masters TOKYO』パーソナリティーのタケ小山が「週刊少年ジャンプ」のキャッチコピーが生まれた秘話などに迫った。
ジャンプ漫画に込められているメッセージ
タケも夢中になったという人気漫画「ONE PIECE」についても後藤さんの見解を尋ねた。
「『ONE PIECE』を描いた尾田さんは、次郎長三国志が大好き。
『ONE PIECE』のような海洋冒険は、新しいジャンル。尾田さんが初めて描いたと言っていい。『ONE PIECE』の中に、次郎長三国志や浪花節、歌舞伎の見得の切り方などを入れてくるセンスは、やっぱりすごい。
古いものを取り入れているのに、古くなっていない。日本人の感性の昔からあるもの、それを活かしている」日本の伝統文化が、作品の中で活かされていることが嬉しいと語る後藤さん。
最後にタケは、漫画の物語の変遷について聞いた。
「もともと、ジャンプは戦いの漫画が多かった。『キン肉マン』や『キャプテン翼』の頃までは、スポーツや格闘技で戦うという"試合"だった。
ところが、『北斗の拳』以降、悪人との戦いがメインになってきた。試合ではなく"戦闘"に変わってきた。悪人は悪人でも、身近なところで言うと"いじめ"がある。それも、無視のような陰湿な"いじめ"。
いじめられている人間の大切にしているものを内側から壊していく"いじめ"。そういった漫画を描いたのが、荒木飛呂彦さんの『ジョジョの奇妙な冒険』や、森田まさのりさん『ろくでなしブルース』。
そういう意味では、少年ジャンプの漫画は、時代を先取りしているところがある。漫画を読む時に、時代背景まで読み取ってもらえると、漫画家さんは、より描きがいがある」と、後藤さんは、漫画家目線で語ってくれた。
新しい作品・時代を先取りする漫画を描いてもらいたいという、読者にではなく漫画家に向けたメッセージが込められた、編集長らしい話の締めくくりだった。
読者に夢を与え続ける「週刊少年ジャンプ」の裏側には、後藤さんのような編集者の強いこだわりとひたむきな努力が隠されていたのである。
前編:少年ジャンプで描く漫画家はいなかった!創刊時を救った『カセット方式』はこちら⇒(https://www.insightnow.jp/article/10143)
The News Masters TOKYO Podcast 文化放送「The News Masters TOKYO」
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パーソナリティ:タケ小山 アシスタント:西川文野(文化放送アナウンサー)
「マスターズインタビュー」コーナー(月~金 8:40頃~)
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