ここ近年、日本円と比べて高利回りの「外貨建て投資」に人気が集まるなか、中長期的な資産形成のアプローチとして個人投資家の間で注目されている「海外不動産投資」。 前回の記事「いま、個人投資家の間で注目される海外不動産投資のイロハ《Part.1》」(https://www.insightnow.jp/article/10090)では、不動産投資のインカムゲイン・キャピタルゲインという収益性の面から、厳しさを増す国内不動産市場の現状と、海外で注目される国々の市場環境や将来性について見てきました。 今回の《Part.2》では、分散投資によるリスク回避・節税の面から見た海外不動産投資のメリットや、投資する際の注意点・購入方法などの情報をお届けします。
「日本リスクの拡大」に備えた資産防衛・分散投資の手段に
少子高齢化や人口減少、巨大な財政赤字や円安による景気停滞、地震災害や原発リスク……など、解決の糸口が見えない社会・経済問題が山積する日本。
2020年の東京五輪を前に一時的な景気回復が見込まれているものの、中長期的な経済成長を期待するのは難しく、今後の社会情勢の悪化や経済失速による「日本の衰退」を懸念する声も年々高まっています。
そうした中、国内の個人投資家は「将来の日本リスク拡大」に備える資産防衛の観点から、成長性のある海外の市場に目を向け始めています。そのひとつとして、投資先の一部を外貨建ての実物資産に分散する「海外不動産投資」の重要性がますますクローズアップされているのです。
実物資産としての価値を発揮する、海外不動産
実物資産としてモノ自体(物件)を保有する不動産投資のメリットは、株式などの金融商品と比べて大きな価格変動がなく、資産価値がゼロになってしまうリスクも低いことです。とくに建物が永久資産として扱われている海外では、日本と比べて物件の価値が下がりにくいため、築年数によらず高収益のインカムゲイン・キャピタルゲインが期待できるのです。
一例として、中古住宅市場が成熟したアメリカでは、築年数の古い物件であっても、立地条件やロケーションがよく、きちんとメンテナンスされた物件であれば、新築と同様に値上がりすることも珍しくありません。さらに、海外の不動産投資においては為替差益がキャピタルゲインのひとつになり、円安になるほど、そのアドバンテージが発揮されるのも大きなメリットといえるでしょう。
また、実物資産の不動産は強いインフレ傾向にあり、世界的にも(かつての日本でも)高インフレ期には不動産価格が上昇するインフレヘッジ効果が見られてきました。前記事の《Part.1》でも触れましたが、先進国と比べて経済成長率・インフレリスクともに高いアジア新興国は、物価上昇によるインフレヘッジ効果も期待できることから、不動産投資の絶好の市場として大きく注目されているのです。
短期間での減価償却による、タックスメリットも魅力
国内外を問わず、建物の減価償却を活用して節税効果が得られるのも、実物資産である不動産投資ならではの魅力といえます。
ここで注目したいのが、海外に所有する不動産であっても、日本に居住(永久居住者)していれば、日本の税制に基づいて費用計上できる点です。先述した通り、海外の物件は築年数が古くても価値が下がりにくく、日本での法定耐用年数を超えた優良物件も数多く存在します。そうした物件に投資することで短期間での減価償却が可能になるため、より大きなタックスメリットが得られるのです。
次のページ海外の不動産に投資する際の注意ポイント
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26