「何故こんな契約なのか?」を知らない現実。団野村氏語る“労働者”としてのプロ野球選手

2018.07.05

経営・マネジメント

「何故こんな契約なのか?」を知らない現実。団野村氏語る“労働者”としてのプロ野球選手

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野茂英雄、伊良部秀輝、岩隈久志、ダルビッシュ有など、数多くのメジャーリーガーを誕生させてきたKDNスポーツジャパン代表取締役でスポーツエージェントの団野村さん。 「エージェント」とは、プロスポーツ選手に代わってチームと入団や移籍、契約金や契約更改といった交渉事を行う交渉代理人のこと。 メジャーは選手が第一で野球というものがビジネスとなり、選手やお金が集まってくる仕組みの一方で、日本の野球は企業のイメージを大事にして、野球が中心ではなく、スポーツエージェントは煙たがられる存在だという。 約25年で100人くらいの交渉代理人を務めてきた団さんにポスティング制度についてや今後の野球界について、タケ小山が聞く。

ポスティング制度について

分かっているようでよく分からないシステム「ポスティング制度」。

※「ポスティング制度」とは…フリーエージェント権を持たない日本のプロ野球選手が、アメリカのメジャーリーグへ移籍を希望し、所属球団の許可を得た場合、メジャーリーグ球団が日本の所属球団から移籍の交渉権を入札で獲得する制度。

タケ小山の「ポスティングになると球団も儲かる?選手は行きたい時に行けるようになったということ?」という問いに、団さんは強い口調で「違う。このシステムだけは問題だらけで、ポスティングというシステムが問題なのではなくて、ポスティングにいくまでが問題」だという。

(日本の選手がプロに入っていずれメジャーに行きたいとして)プロに入りました。3年経ってアメリカに行きたいです。球団はダメ、ダメ、ダメという権利がある。

では、どこでポスティングになるのか?それは、球団がOKしないといけない。OKを出す引き金がないという。

球団側に一方的に権利があり、選手側にはない。
選手側が引き金を出せる交渉が出来ていないのが問題。

まずは、ドラフトの時にどういう交渉をするかが大事だという。

これからの野球界、スポーツ界について

団さんは日本とアメリカとどちらを重点にビジネスをされているのか?を聞いた。

「両方半分半分。考え方としては、海外の意識を日本の選手に持ってもらいたい。外国においては日本の選手の意識を持ってもらいたい」と団さんは語った。

団さんが代表を務める「KDNスポーツジャパン」とは、選手のマネージメントをする会社で、抱えている選手は25人〜30人位とのこと。

過去に、外国人選手を日本の球団に入れて大成功した例は、ヤクルトのハウエル、デシンセイ、面白い例としてはヤクルトでプレーした後、メジャーリーグのレンジャースと契約したバーネットだという。

スポーツ界に身を置く一人としてタケ小山は、締めくくりの質問に「野球界、スポーツ界、変えられるとしたらどんなことをやりたいか?」を聞いた。

団さんは、「選手がもっと教育を与えられる場を作りたい。野球だけではなく、労働の部分をちゃんと認識して、社会人として、プロ野球選手として、ただ一球団の選手ではなく、一個人として、どういうところにいって、どういうことをしなければいけないのか。何故こういう契約なのか。『何故』というところを追究していってもらいたい」と語った。

日米球界の橋渡し役となり、道なき道を切り拓いてきた団野村さん。

ダンディで優しいお顔の中にも信念を感じさせるしっかりとした眼差しが印象的だった。

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