米国の不動産投資考察-①

2018.06.13

経営・マネジメント

米国の不動産投資考察-①

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海外不動産投資、とりわけ米国不動産についてこれから順を追って考察しておきたいと思います。 第一回は、海外不動産の基礎知識について解説していきます。 その中からまずは、 ①金利状況、②為替リスク、③米国の不動産投資状況のおぼろげな姿、 を見ておきたいと思います。この三つの要素を総合的に考察し、海外不動産投資に踏み切る決断を下すべきと、筆者は考えております。

海外不動産の金利状況

ドル金利の動きは米国不動産投資を検討する上で、最重要に考えるべき要素です。
ドル金利は現在上昇過程にあるといえます。FRB(米連邦準備理事会)は、3年前2015年12月から政策金利であるフェッド・ファンド・レート(FF Rate)の引き上げを開始しました。現在FF Rate誘導金利の上限1.75%です。今週水曜日開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%利上げされ、2.00%となることが金融市場ではほぼ織り込まれています。そして年内更に2回利上げが実施されるのではとの観測が強まっています。
来年も利上げセッションは続き、0.25%毎の利上げが2回実施されると予想されます。そしてFF Rateが最終的に3%になると、FRBの当初の目標は達成されると考えられます。3%以上のFF Rateの引き上げは、米国が過度に景気良好になり、バブル景気状態つまりハイパーインフレ懸念が強く出てきた景気状態に限られるのではないかと筆者は考えます。
今後3年以降の米国経済状況を現在の状況から推測すると、そのような状況には陥らないと考えています。それは海外の主要先進国と中国の経済状況を考えると、今後飛躍的に良い景気状況が何年も続かないと判断できるからです。
結論として、今後2年位ドル金利は上昇し、その後は平たんな金利水準状況になるのではと思います。長期金利10年は現在2.90%前後の水準とこちらも3%前後の金利に上昇するトレンドにあり、上昇傾向にあると言えます。
従って、不動産投資する上では、今後2年位金利は長短金利共に上昇すると思って投資することを概念として頭に叩き込んでおくことが必要ではないかと思います。

グラフで見る金利状況

そこで米国の不動産投資する上で、金融機関からの借入金利はどの程度の水準であるかを知っておくことが必要となります。
下記のグラフ(出所:ウォールストリートジャーナル紙)は、現在の米国のドル金利体系を示しています。特に左部分のモーゲージレート(mortgage)に注目してください。モーゲージ・レートとは、住宅ローン金利を意味しています。
これを見ると、30年固定金利(30 Year Fixed Mortgage)青線:4.46%、15年固定金利(20 Year Fixed Mortgage)空色線:3.89%、10年固定金利(10 Year Fixed Mortgage)橙色線:3.78%となっています。
FF Rateと比べると、30年固定金利で約2.70%、10年固定金利で約2.00%上乗せされている金利体系です。今年末を予想すると、FF Rateが2.50%に引き上げられると、30年固定金利で約5.20%、10年固定金利で約4.60%となる計算と推測されます。
これは一般の住宅金利であり、SPC(特別目的会社)を設立した不動産ファンドのシニア部門の借入つまり銀行借り入れはそれよりも低い金利水準と推測されます。
メザニン投資(中二階投資)部分利回りはそれよりも高い水準になると言えます。(投資家にとっては投資対象利回りとなります。)

クラウドファンディング,ソーシャルレンディング,マネセツ

日本の住宅ローン金利と比較しましょう。日本銀行の短期政策金利:-0.10%、長期金利(10年国債金利)ゼロ%程度で、金利を低水準に維持し、量的緩和の姿勢を維持しています。住宅ローン金利はどのように推移しているのでしょう。
調べてみると、全期間固定金利0.740%、固定10年金利0.630%と出ていました。そして日銀の今後の政策金利方針として、現行の金利水準維持、量的緩和姿勢に変化がないところを考えると、2年位の期間で見ると、大きくは金利が上昇するとは考えられないと筆者は考えます。

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