性的少数者をターゲットにした商品やサービス、いわゆる「LGBTビジネス」は日本国内で約6兆円、世界全体では100兆円以上の市場規模が期待されています。 別名「レインボー消費」とも呼ばれ、頭打ちとなっている日本経済において、新たな巨大市場として注目されています。 今回は、企業が新たに取り組むLGBTビジネスにはどんなものがあるのか、そしてそれは本当に日本の頭打ち経済を脱出できる起爆剤となるのか……を探ってみましょう。
ブライダル産業の2~3倍の市場規模!?
性的少数者とはいうものの、その数は全体の約8%にのぼることは、前記事「期待される「LGBTビジネス」。新たな“巨大”市場を築くことができるのか!?〈1.〉」でも紹介した通りです。その数値に基づいて計算すれば日本国内には、960万人ほどのLGBTの人たちが存在すると想定されます。また、LGBT本人のみならず、彼らの支援者や支持者の活動による消費も含まれますから、ターゲットとしてはかなり大きな“塊”となりそうです。
とはいえ、国内での市場規模約6兆円というのはそれほど大きな市場なのか……と疑問を抱く方も多いことでしょう。
じつは、ネット通販の市場規模が7年ほど前の時点で7兆円、
金融業界のIT化の代名詞・フィンテックの市場規模が2年ほど前の時点で4兆円強、
さらに、ブライダル産業の市場規模も7年ほど前の時点で2~3兆円……、
こうした数値からもLGBTの市場規模の大きさが想定できるはず。これは日本経済にとって無視できない巨大市場となりうる可能性を秘めているのです。
LGBTの就活生や社会人がターゲット
では、実際に企業はどのような取り組みをしているのか、見ていきましょう。
●「LGBT就活生/社会人応援!自分らしいスーツを探そう!」
2018年3月、丸井グループは、LGBTを支援するNPO法人ReBitと共同し、LGBTの就活生や社会人を応援する「LGBT就活生/社会人応援!自分らしいスーツを探そう!」をなんばマルイで開催しました。
これは2017年に有楽町マルイで初めて開催されたもので、身長や体の大きさに合わせて幅広いサイズを展開し、デザインも性別にとらわれず、メンズ・レディースの双方から選んだり組み合わせたりできるようにしたものです。これにより、誰もが「自分らしいスーツ」をつくることができるというわけです。
丸井グループは、数年前からダイバーシティ(多様性)に積極的に取り組み、あらゆる人が楽しく買い物できるようにさまざまな取り組みをしています。一方のReBitは、「LGBTを含めたすべての子どもがありのままで大人になれる社会」を目指し、学生が主体となって運営している団体です。
つまり、丸井のスーツフェアは、両者の思いがうまく合致した取り組みなのです。丸井では、今後も継続していくために事業としてしっかり成立させたいと意気込んでいます。
結婚式場やメイクの世界にもLGBT向けが登場
●同性カップル向けの挙式プログラム
神戸市の結婚式場「ザ・ヒルサイド神戸」では、同性カップル向けの挙式プログラムも受け入れています。式の打ち合わせを他の人と顔を合わせにくい平日夜に行ったり、個室を準備するなどして、プライバシー保護に配慮しているとのこと。
次のページ金融業界も同性パートナーに門戸開放
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26