いよいよ今年度は、第3回日本サービス大賞の開催となります。第1回、第2回と顔触れの異なる様々なサービスが表彰されてきました。今回はどんな日本の優れたサービスが選出されるのかとても楽しみです。
「日本サービス大賞」は、日本初、日本最高峰のサービスの表彰制度として、2015年よりスタートしました。業種や地域、規模を越えて日本の優れたサービスにスポットライトをあてることで、サービスで日本経済をもっと元気にしていこうというものです。最優秀賞である内閣総理大臣賞をはじめ、地方創生大臣賞、サービスを管轄する各省の大臣賞、JETRO理事長賞および優秀賞を選出します。2年に一度開催され、第1回目には31件、第2回目には18件の優れたサービスが選出されています。表彰式の様子は様々な形でメディアに取り上げられたため、ご覧になった方もいるのではと思います。
サービス改革に秘めたストーリー
幸いにも、シリーズ「日本の優れたサービス」を出版させていただくにあたり、第1回、第2回の日本サービス大賞を受賞したサービス事業者の方々から、これまでに色んなお話を聞かせていただいてきました。そこには、サービス事業が壁を乗り越える変革ストーリーがありました。
「あのとき、諦めなくてよかった。」
優れたサービスが生まれてくる過程で苦難を乗り越えてきた事業が多くありました。それは、サービス改革でどの企業も直面しそうな出来事ばかりです。苦労話とともに、仲間と受賞の喜びを分かち合う姿には、心打たれるものがありました。
「自分たちのような無名な会社でも評価していただき、努力は報われると確信できました。」
そう語ってくれた社長の会社は、受賞がきっかけとなり日本中からオファーが集まり、事業モデルを全国に展開することになりました。業界や規模、知名度にかかわらず横串で評価することで、優れたサービスにスポットライトがあたり、活躍の場が広がっていく。そのきっかけづくりも、日本サービス大賞は担っているのだと実感しました。
「応募内容を書き上げるだけでも価値があった。自分たちのサービス事業を体系立てて整理できて、これからのサービス事業の課題や方向性が見えてきた。」
と、危機感や使命感を込めて話してくださった方もいました。日本サービス大賞へのチャレンジ自体が、サービス事業のステージアップに踏み出すきっかけとなったというのです。
日本経済のターニングポイントをリードする
今後の日本経済は、人口減少にともなう市場の縮退と人手不足が深刻化しています。2015年時点で約400万社ある日本の企業数は、2040年までに300万社に減少するとも言われています。4社に1社が姿を消すほどのきびしい競争環境の中で、真に価値があり競争力のあるサービス事業でなければ淘汰されてしまうのです。
これからの時代は、個人的な経験やセンスに頼ったサービス経営で生き抜けるほど甘くはありません。サービスの本質を捉えて、組織的に成長力や競争力を高められるような、強いサービス事業にステージアップするときが来ているのです。
日本サービス大賞がこの時代のトップランナーにスポットライトをあてることで、壁を乗り越えるサービス事業変革のガイドになるのではと思います。そして、日本経済の大転換期をイキイキと乗り越えていくサービス事業へのステージアップのきっかけになるのではと思います。
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2015.07.10
2009.02.10
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新