「マーケティングは難しい」という人の多くは、フレームワークを知らない・正しく用いていないという場合が多い。そのため、当連載では、フレームワークを行う上で「陥りがちな落とし穴」を解説してきた。ここまで多くは「環境分析」のフレームワークを見直してきたが、今回は「戦略立案」の第一歩である「セグメンテーション」に進めてみよう。実はここがある意味、失敗するマーケティングの巣窟だったりする。
■セグメンテーションは「ニーズで括る」
冒頭の「この商品のターゲットは20代の女性です!」が失敗すると言い切った論拠は「20代の女性が、みーんな同じニーズであるわけがないから!」である。ある属性のニーズが等しく同じなどということがあったらかなり気持ちが悪いだろう。高度成長期ならいざ知らず、今日のように消費は高度化してニーズが細分化した社会においてだ。
セグメンテーションを正しく定義するなら、「不特定多数の”個”を同質のニーズを持った集団に括ること」である。一見バラバラに見える個々の存在を、「ニーズ」という側面で同質と考えられる固まりにするということがポイントだ。そして、その固まりができたら、さらに共通項はないだろうかと、先の性別や年齢、職業などの「属性」を見ていくのだ。最終的に属性に落とし込むことをしないと、そのボリュームが予測できなかったり、適切なコミュニケーションの手段や媒体が選択できなかったりするので属性は必要だ。だが、重要なのは、「属性」から先に考えるのではなく、まずは「ニーズで括る」ということなのだ。
前出の「グランドビッグマック」のターゲットとなり得るセグメントの1つが「SNSにアップしてネタにしたいというニーズを持った固まり」だと推測できるなら、発売前にSNSで口コミ促進を図るなどの施策も考えられる。「男性」という性別ばかりを固定観念で見ていたら、女性のニーズを見落とすことになる。もし、「ガッツリ食べよう漢のバーガー!」などという訴求をしてしまったら、せっかくニーズを持っていた女性もどん引きしてしまうかもしれない。
売れるターゲットを見つけ出すことはマーケティング戦略には欠かせない。だが、そこでどんな(属性の)人だろう・・・と、性別・年齢などのビジュアル的に想像を働かせてはダメなのだ。まずは「どんなニーズが潜んでいるだろう?」と考え、それから、「そのニーズを持った人は、どんな(属性の)人なのだろう」と考える順番が大事なのだ。
「セグメンテーションはニーズで括る!」「先入観を持って属性から考えない!」これが絶対原則なのである。
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フレームワーク
2019.04.08
2022.02.19
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。