紳士服のAOKIから発売されている「パジャマスーツ」が売れているという。 確かに、コロナ禍における今日の生活者のニーズを適切に捉えた商品なのである。
そんなニーズに応える、素晴らしい「ウォンツ(モノ)」が発売されている。その名も、「パジャマスーツ」。紳士服のAOKIの商品。2020年11月からの販売である。
日経MJ2月1日号によれば、<今春までに売り場面積の1割まで広げる>という力の入れようであり、販売実績も<計画比の2倍><海外からも多数販売の問い合わせが集中している>と、2月8日号の日経電子版で、AOKIホールディングス社長 青木章宏氏がインタビューに答えている。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO6877120003022021000000?channel=DF060420172329&page=3
同社の商品紹介ページでは、<「パジャマ以上・おしゃれ着未満」をコンセプトに、パジャマの快適さとスーツのフォーマルさを兼ね備えたセットアップアイテム。新生活様式により、「自宅でくつろぎながら、仕事時にはきちんとしていたい」というニーズに応え、「あったらいいな」を具現化しました>というコピーがある。
https://www.aoki-style.com/feature/pajamasuit/?gclid=Cj0KCQiApY6BBhCsARIsAOI_GjZbRJOOUkVvm2MGuid_CKhqM09koLsX32ZlBzvon4MP5fm4I0Gv-2kaAqFBEALw_wcB
「パジャマ」と「スーツ」という、対極にあるモノを組み合わせたネーミングだが、「できれば、寝起きのままのパジャマ姿で楽に仕事がしたい!だが、さすがにそれはできないけど、スーツに着替えるような負担はイヤだ!」という、顧客の心の声、ニーズを代弁しいて素晴らしい。創業者の青木拡憲会長が名付け親だというが、さすがである。
商品仕様としては、<ハリ感のあるニットやジャージー生地を使う。色は黒や紺などを用意し、着心地ときっちりした見た目を両立させた>とのことで、<税抜き価格はジャケットとパンツいずれも女性用が4900円、男性用が4990円>と、気軽き変える価格で提供されている点もポイントだ。(日経MJ2月1日号)。同社の生産、及びプライシングのノウハウが結実している。
コロナ禍は、様々なビジネスに打撃を与えている。しかし、その中でも、顧客のニーズに真摯に耳を傾ければ、新たなチャンスも見えてくる。コロナが収束した後にも、今の生活様式が「ニューノーマル」になると言われている。ニューノーマルの時代の新たなニーズ発掘は、多くの企業の課題である。
ヒット商品・新商品分析
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。