2015年12月から義務化が開始された「ストレスチェック」。従業員数50名以上の企業が対象となります。これから実施する企業の経営者、実施担当者の方向けに確認すべきポイントを解説します。
図1 仕事や職業生活に関する不安、悩み、ストレスの有無(2013年 厚生労働省「労働安全衛生調査」)
労働者がストレスを抱え、心の病気を発症すると、作業効率が下がり、生産性が低下します。場合によっては、長期にわたる休業が必要となったり、退職してしまったりすることもあります。精神障害や自殺などの精神および行動上の問題を幅広く含むメンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業または退職した労働者がいる事業所の割合は、2013年の調査では10.0%でした。2012年の調査から1.9%増加しています。
図2 過去1年間におけるメンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業または退職した労働者数階級別事業所割合(2013年 厚生労働省「労働安全衛生調査」)
まとめ-リスクマネジメントとしてメンタルヘルス対策を-
このような状況が発生すると、周囲の仕事の負担が増え、職場の士気が下がる可能性があります。また、経営者や企業にも大きな影響を及ぼします。近年では、メンタルヘルスにリスクを抱えている人が働き続けてうつ病になった場合、司法判断では業務上の疾病と見なし、積極的に労災認定する傾向が強まっており、うつ病による自殺や過労死などがあった場合に、企業だけでなく、経営者個人の賠償責任まで問われることも増えています。労働者の心の健康問題に関して、企業の責任が追及されているのです。リスクマネジメントの側面からも、メンタルヘルス対策を推進することが重要視されています。
職場におけるストレスの問題は、もはや労働者個人の問題として片付けることはできません。職場全体の問題として取り組むべきことです。経営者は重要な経営課題として捉える必要があるのです。「ストレスチェック」を実施して社内の状況を確認し、社員のメンタルヘルス対策を行うことで、優秀な社員が長く働き続けられる環境づくりを推進してください。
文:冨田有香
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