高度プロフェッショナル制度は、簡単に『量』ではなく『質』で給料を支払うという制度です。この記事では働き方改革の関連法案でもある高度プロフェッショナル制度の仕組み、導入のメリット、問題点について徹底解説します。
高度プロフェッショナル制度では、時間よりも成果が重要視され、時間外手当の概念もなくなるため、短時間で成果を出すことが求められます。このことから、労働効率の向上が期待されています。
高度プロフェッショナル制度のデメリット
高度プロフェッショナル制度は、残業などの時間外労働の概念がなくなることから『残業代ゼロ法案』とも呼ばれています。この項目では、残業代ゼロ法案と批判される要因となった制度のデメリットについてご紹介します。
残業代の概念が無くなる
高度プロフェッショナル制度では、労働時間の規定がなくなるため、残業や時間外労働という概念自体がなくなります。裏を返すと、どんなに時間をかけて取り組んでも成果がでなければ賃金が上がらないので、事実上『残業代ゼロ法案』になるのです。
評価基準が難しくなる
高度プロフェッショナル制度で対象となるアナリストや研究職などの業種は、成果を出すのに時間がかかることもあります。また、成果の評価は業種や企業ことに異なるため、賃金格差が生まれる可能性があります。
あわせて確認しておきたい労働問題
この項目では、高度プロフェッショナル制度と合わせて確認しておきたい労働問題についてご紹介します。
労働制度の悪用
管理職(管理監督者)や、みなし労働制などは会社側も誤った認識をして制度を悪用している場合もあります。労働制度の悪用による賃金不払いは違法になる可能性が高く、会社に賃金の支払い請求をするとも可能です。
サービス残業
労働時間よりも効率を重視するあまり、サービス残業となってしまうこともあるでしょう。賃金を支払わないサービス残業は場合によっては拒否することもできます。
ハラスメント
職場の同僚や上司、部下などに嫌がらせを行ったり休業制度などの利用を妨害したりするハラスメントは違法と判断される恐れがあります。ハラスメントにあった場合は、会社のコンプライアンス窓口などを通して解決を図りましょう。
高度プロフェッショナル制度の展望
残業代ゼロ法案とも呼ばれる高度プロフェッショナル制度は、現状として2019年4月からの導入を目指しています。
一方、裁量労働制などの、働き方改革の関連法案は一部が本国会での決議が見送りになったものもあり、高度プロフェッショナル制度も再検討すべきという意見もあります。
今後も動向に注目する必要がありそうですね。この記事で、高度プロフェッショナル制度に関する疑問が解消されれば幸いです。
【出展元一覧】
- 厚生労働省|「働き方改革」の実現に向けて
- 厚生労働省|労働時間に関する見直し
- NHKニュース|高度プロフェッショナル制度 来年4月施行方針 厚労省
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2018.05.21
2019.09.20
労働問題の解決に役立つ法律メディア 労働問題弁護士ナビ編集部
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