BSCは、組織やチームにおける戦略の立案と実行だけではなく、ナレッジワーカー個人のビジネスの生産性向上にも応用できる、優れたフレームワークだ。 応用できるどころか、私はむしろ個人のワークプロセスにこそ取り入れたいフレームワークだ。
バランススコアカードとは、言わずと知れたロバートキャプランとデビット・P・ノートンが、戦略策定と実行へのプロセスを紹介したものだ。
簡単に言えば、組織が戦略を策定する際に、4つの視点から考えていくものであり、組織が戦略を明確にし、全員で共有するための優れたツールだ。
「顧客」「財務」「プロセス」「人材」と視点に漏れがないため、戦略をロジカルに理解しやすく、あらゆる部門に適応できるために全社員の共有がしやすい。
また、理解と共有だけではなく、効果的なCSFとKPIを設定することができれば、戦略の実行面でもマネジメントがしやすくなり、成果につながりやすくなる。
こうした良さがあるために、発表時のブームと呼ばれた時期ほどではないものの、現在でも、日本でもかなりの企業が導入し、成果を上げている。
しかし、BSCは、組織やチームにおける戦略の立案と実行だけではなく、ナレッジワーカー個人のビジネスの生産性向上にも応用できる、優れたフレームワークだ。
応用できるどころか、私はむしろ個人のワークプロセスにこそ取り入れたいフレームワークだと思う。今ほど、個人の能力を問われている時代はないであろうし、言い尽くされていることだが、「まったく同じ考えを持つ2人は、組織では必要ない」のだ。
一人ひとりが、事業者としての意識と責任を持ち、成果を出しながら成長を続けていかない限り、これからのビジネス社会で生き残るのは難しいだろう。
知的生産性を高めるために
「知的生産性を高めたい」と思ったとき、ビジネスパーソンはどのような行動をするのだろうか?
・専門知識を増やす
・ロジカルな思考プロセスのスキルを身につける
・働く環境を改善する
・集中力を高める
・発想法や思考法を学ぶ
といった、知識や思考の方法を改善する、あるいは、
・人脈を増やす
・マネジメント力を身につける
といった自分の外に解決策を求めるケースなど、さまざまあるだろう。
ビジネスにおいて知的生産性を上げるということは、成果を格段に増やすということだ。つまり、ビジネスで成果を上げるということは、顧客に貢献することで顧客を創造し、売り上げや利益など財務数値としての成果をあげなければならない。
ビジネスなのだから当然といえば当然なのだが、現場においては、「企画案がたくさん出てくる」「特化した専門知識を持っている」「レポートをまとめるのがうまい」「プレゼンテーションがうまい」といったことが、知的生産性の評価軸になっていることが意外なほど多い。
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