NHKの朝ドラ「ひよっこ」が高視聴率の内に終了。早くから「ひよっこロス」の声が、広がっています。この「ひよっこ」の最終回、最後に主人公のみね子が視聴者に伝えた言葉「みんな一緒にがんばっぺ」を、今、人の心に与えてくれたものを考えてみました。
しかし結果として、みね子が言うのと反対の「不自由な人生」に縛られるというパラドクスが生じています。
みね子は、何かに「なろうとしない」選択肢があることを教えてくれたのかもしれません。
◎ ドラマの中のそれぞれの人生像
登場人物にはそれぞれ物語があり、人生の群像のようなドラマでもありました。
みね子のおじの宗男がインパール作戦で英兵に出会って助かったことが、後のビートルズとつながったり
寮の舎監だった愛子さんは、戦死した婚約者を忘れられず、独身を貫いていました。 彼らは、とても明るい人たちですが、背後に戦争の影を背負っていました。
同僚だった澄子は、田舎からばあちゃんを呼んで同居したら、ばあちゃんは結局、田舎へ帰ってしまったり。ばあちゃんも、どう生きるのか、自分で選んでいるわけです。
最終回に近づくと、かつての工場長が、電気工事会社の社長兼作業員になって現れたり、
寮の食事を作っていたカズオさんが、カレー屋をやっていたり、一時の人生の先には、何かが続いていることを見せてくれました。
ちょっと不自由だったのは、家の事情でみね子と別れた島谷君だったかもしれませんが…。
一見平凡に見えるかつての工場の寮仲間も、みんな肯定的に描かれていました。
皆がそれぞれの人生を生きていることにおいて、それぞれがその人生の主役でした。
◎ 「みんな一緒にがんばっぺ」
このドラマの1960年代のあと、70年代始めには、ドリンク剤の「がんばらなくっちゃ~」を繰り返すCMソングが哀愁を帯びて共感を呼び、80年代後半のバブル終焉期には、ビジネスマンをヒーローにして「24時間、戦えますか」ががんばるシンボル。ドリンク剤に代弁させていました。
そして、今、21世紀の今、過労死が問題になる時代。
これらの「がんばる」は、一人で背負っています。サポートがドリンク剤ですから、孤独です。
そして、自分で選んでいません。みんな働か「されて」いるわけですから。
そんな今の私たちへ 60年代のみね子のメッセージが
「みんな一緒にがんばっぺ」。
がんばるのは、みんな一緒に。
大物女優の節子さんもマスコミの取材攻勢から逃げて、そのまましばらく茜荘に住むことにしたのは、おそらく仲間といる楽しさ、心強さに替えがたかったから。
ようやく売れっ子になった漫画家二人組も、茜荘から離れない。
ひよっこにはまった視聴者がロスなのは、共有した「一人じゃない」感覚が失われて、寂しいからかもしれません。
そんなあったかさは、「愛」でした。
だから、ただの「がんばっぺ」じゃない。
「みんな一緒に、がんばっぺ」
決して一人じゃないからね。
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2015.07.17
2009.10.31
一般社団法人フラワーフォトセラピー協会 代表理事
こんにちは。内藤由貴子です。花の写真でストレスを作る感情を分析、心理診断を行い、さらにその解消まで行うフラワーフォトセラピーのセラピストです。INSIGHTNOWでは、異色な存在かもしれませんね。このセラピーの普及のため、一般社団法人フラワーフォトセラピー協会を設立、講師の養成、セラピストの紹介を行っています。自身、色を使うオーラソーマ®をはじめ、セラピストとして16年あまりのキャリアです。このINSIGHTNOWでは、こころをケアに役立つようなコラムを書かせていただきます。よろしくお願いいたします。