営業利益率50%強、日本の製造業ではダントツの高収益を誇るキーエンス。同社はまた、30歳代で1300万超のスーパー年収でも知られる。謎に包まれた実態に迫るため同社から話を聞いた。
組織も極めてフラット。社長以下部長、課長などといった役職名が使われることはなく、全員が「さん」付けである。社長にさえ秘書は付かず、社長といえども会議の時間に遅れれば末席に座る。その原理・原則の徹底は筋金入りである。
■徹底的に成長にこだわる
私的な感情を仕事には持ち込まないある意味ドライな社風は、いわゆる日本的な情の世界とはなじみにくい側面があることは否めないだろう。だからこそキーエンスは採用での人材見極めと、入社後の育成にこだわってきたのだとも考えられる。入社以降キーエンス流の考え方を事あるごとに徹底し、最強集団を作り上げてきたわけだ。
その意味では時代の風はキーエンスにとってフォローとなっているのではないだろうか。実力があれば、それが真っ当に評価される企業である。情実の入り込む余地はない。いま、できる人材が求めているのはまさにこうした職場だ。
では極めてフラットな組織の中でモチベーションを保ち続けるためにどんなキャリアパスが用意されているのだろうか。一般に営業マンの次のステージとなるのはグループリーダーである。リーダーに何よりも求められるのは、自分の替わりとなる人材を育てること。部下の育成と言えば聞こえは良いが、通常の企業ではそうした部下が本当に育ってしまうと自分のポジションが脅かされるとばかり全力で部下育成に取り組むリーダーは少数派だろう。
しかしキーエンスは違う。部下が自分のポジションを務められるようになれば、自分はさらにワンレベル上の仕事をめざせると考えるのだ。マネジメントのテーマは、そうした意気込みのあるリーダー達に常にワンランク上の仕事を用意し続けること。企業としての絶え間ない成長が必要となるわけだ。
生産ラインの効率化・品質向上に活用されるセンサにそれだけの成長の余地は残されているのだろうか。答は「Yes」である。日本から製造業がなくならない限りセンサは必要とされる。しかも生産ラインは必ず数年で更新されるのだから、そこに間違いなくビジネスチャンスが生まれる。
さらにいま、キーエンスが見据えているのはグローバルマーケットである。海外の売上比率はこの10年間で14.5%から25%にまで急成長した。世界の生産現場を考えれば、今後もキーエンスのマーケットはまだいくらでも開拓余地は残されている。原理・原則(経済原則)を徹底しているからこそ、キーエンスのやり方は世界で同じように通じる。だから国内、国外を問わずその連結営業利益率はほぼ同じ、極めて高い水準をキープしている。いくらでも成長は可能なのだ。
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FMO第4弾【株式会社キーエンス】
2008.02.13
2008.02.05
2008.01.30
2008.01.22