今は当たり前となった調達購買改革ですが十数年前の状況は全く異なっていました。 どのような状況だったのでしょうか。
こういう役員や部長ですからそもそも調達購買改革が進むわけがありません。私はこの時本当にショックを受けました。しかしこれはこの特定の企業に限った話ではなく、多くの企業で同じような状況だったと類推されます。調達購買部門は他部門で使い物にならなかった人材が定年までの居場所
としての位置づけでしかなかったというのは言い過ぎではないでしょう。
もう一社のメーカーさんの事例です。この会社さんは間接材調達で集中購買やコスト削減を進めたいという相談が経営企画部門から出てきて、それではまずは分析をやりましょう、ということで進めていった時のことです。
コスト削減機会を捉えるための分析はある程度終わったので、次はユーザーにヒアリングさせて欲しいということを話したとき、現場からこう言われました。
「またやるんですか。」
詳しく聞くと同様の取り組みを数年前にコンサルを入れてやろうとしたがユーザー部門の反対があまりにも強く途中で取りやめたとのこと。結局この時もこの企業では分析だけやって終わりました。この当時はこのような企業さんのケースは少なくありません。特に対象の企業さんは元々創業
経営者で事業部や現場がとても強い企業文化だったことを記憶しています。
このような企業で本社主導の集中購買など進む筈もありません。ところが、この企業はあるタイミングで創業経営者が引退しとある外資系日本法人企業のトップを勤めていた方を跡継ぎとして次期経営を任せたのです。
その新しいトップがまず最初にやった改革の一つが集中購買です。それによって(当たり前ですが)大きな成果を上げたことがその後の新聞記事や雑誌などでも取上げられていました。
そう欧米企業にとってみると集中購買とか調達改革なんて「当たり前」なんです。彼らにとってみるとコスト削減を実現しキャッシュを生むために調達購買改革は極めて常識。これは製造業だけでなく他業界でも同じです。例えば航空業界のJ社さんの調達購買改革の事例は極めて有名ですが、彼らも新しい経営者のもと、以前からのしがらみを断ち切って集中購買を真っ先に取り組み大きな効果を出しました。これも欧米や製造業では当たり前、儲ける仕組みのためには当たり前、なんです。
つまり「当たり前の調達購買改革」。これは十数年前から現在に至る多くの日本企業でも全く同じことが言えます。従来であれば改革反対勢力が主流でしたが、今は改革するのが当たり前になってきたのです。
正に「当たり前の調達購買改革」です。
しかし最近この流れに対してやや違った調達購買改革の流れが出てきていることが特徴的です。この新しい流れについては次回のメルマガで述べていきます。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。