敏捷性をもってユーザーマネジメント力を強化する

2017.03.29

経営・マネジメント

敏捷性をもってユーザーマネジメント力を強化する

野町 直弘
調達購買コンサルタント

LCB、BPO、ロボティックス、AIなどの技術進化の中、最後まで機械化、標準化できないのはユーザーマネジメント力そのものです、というお話。何故でしょうか?

これは前回の情報発信にもつながることです。社内部門のステイクホルダーの欲している情報発信を行い価値を生み出す、社内部門との協業を進める。これは正に関連部門への貢献そのものです。

先に上げた提言の「購買部門の目標を、企業の最優先目標と整合させる」「購買スタッフのスキルを企業の最優先目標を支援できるように育成する」そして「購買部門に敏捷性を植える」の3点は特に今後重要視しなければならないことでしょう。

この3点はまとめて言うと「敏捷性をもったユーザーマネジメント力を強化する」ということです。つまり外部リソースの活用を競争優位につなげるお手伝いをしたり、新しい技術や仕様選定、無駄な支出の排除を行うことで収益貢献を高めたり、それを敏捷性をもって実現する、そのための能力を高めるというユーザーマネジメント力の強化と言えるでしょう。

それではこのような力はどのようにすれば育成できるでしょう。前回のメルマガで「情報にかかる3つの課題」を解決するためには「研修」だけでなく「業務」や「KPI」が人材育成には欠かせないという指摘をしました。しかし「敏捷性をもったユーザーマネジメント力の強化」は「業務」や「KPI」ではカバーできません。ここではコミュニケーション力ややりきる力、自発的に行動する力などのより属人的な能力が求められます。

それをカバーするために、ある企業では開発出身の開発購買部隊を設置し、ある企業では技術職のわかる人に購買をやらせています。またある企業では技術職と事務職でチームを組ませ開発上流段階から調達購買が関与できるようにしています。

しかしここで重要なのは個々の力であり気概です。
「私がこういうサプライヤのこういう技術を見つけてきた」「私が見つけてきたサプライヤのおかげで自社製品が大ヒットした」「強固な調達基盤を私が作り上げたからリードタイムが半減した」こういう気概がなければ体制やシステム、業務を作り上げたとしても上手く回らないでしょう。

このようなユーザーマネジメントの活動は「開発購買」というキーワードで語られますが、開発購買は多くの企業で上手く機能していません。私はこの原因の一つがバイヤー個人の資質であるように感じます。

「開発購買」や「ユーザーマネジメント」で重要なのは個人の気概です。「(事業部門の)この人の役に立ちたい」「(開発部門の)この人に認められたい」とところからスタートしましょう。そうすれば自然と社内で必要な人材になっていきます。また何らかの機会に企業の最優先目標の達成に大きな貢献
ができる人材になれるでしょう。部門全体ではそういう人材の集団となっていくことで社内での地位向上につながっていくのです。

従来からLCB(ローコストバイヤー)、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)最近ではロボティックス、AIというような技術を活用することでバイヤーの仕事は無くなる、ということも言われてますが「敏捷性をもったユーザーマネジメント力」などは最も自動化、標準化、機械化し難い、最後まで残る
役割・機能・価値となるでしょう。

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

フォロー フォローして野町 直弘の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。