昨年11月に90人もの社員の処分が過剰接待ということである企業で発表されました。それでは日本企業での接待・贈答の実情はどうなっているのでしょうか?アンケート結果を踏まえ考察を述べます。
昨年の11月ですが、ある企業で調達購買部門の過剰な接待が問題になり、社内で90人もの社員が社内処分対象となったことが発表され、それを受けて11月中旬から12月中旬までアンケート調査をアジルアソシエイツと未来調達研究所で共同で実施しました。
調査内容では調達購買部門のお取引先からの接待・贈答に関するルールの有無や、ルールの内容、対応方法についてお聞かせいただいたのです。回答者数は214人と、たいへん多くの方にご協力をいただき、誠に有難うございます。
内容ですが詳細は下記に記載しましたWebページからレポートをダウンロード(無料)していただきご一読いただければ分かります。今回のアンケート調査結果からは日本企業的な課題が浮き彫りになりました。
https://www.insightnow.jp/pro/white_papers/12
今回最も意外だったのは、接待・贈答品に対するルールがないとの答えが全体の三割強と非常に高く、ルールも内規もないとの回答も約二割に上ったことです。
また、ルールがあっても「原則禁止だが例外あり」で例外の基準も常識の範囲とか、「基準ありだが(価格や回数などの)明確な基準ではない」との回答が非常に多かったことでしょう。
一方で接待・贈答については回答者の7割は容認派であり、どうしてもやむを得ないケースがあるが、それに対して社内他部署や社外からの批判等もあり、如何に過剰にならないようにするか、に多くの方が苦慮されているというのが実情のようです。
結論的に言いますと、1つ目の課題は「明確なルールづくり」が上げられるでしょう。皆さんのご意見の中からも読み取れましたが全ての接待が悪い接待ではありません。
取引先とのコミュニケーションを深め情報収集のために積極的に行うべき、というご意見もある位です。
特に昨今サプライヤとのコミュニケーションやサプライヤとの関係性を如何に構築して、良いサプライヤを囲い込んでいくか、という視点が重要視されていますが、そこからも「良い接待」は必要なのでしょう。その場合は「良い接待」がどういう接待であり、そのやり方やルールを作る必要があります。例えば少人数で実施するのではなく少なくとも何人以上のメンバーで懇親会形式にする、とか「費用は折半とする」とか、です。
もう一つの大きな課題は「ルールの周知徹底」になります。これは当然のことながら、社内だけでなく社外も含めた周知徹底になります。当然のことながら周知及び徹底はグローバルが対象です。そして世界統一のルールを地道に展開していく必要があります。
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野町 直弘 / 調達購買コンサルタント
接待・贈答品に関する企業としてのルールはどのような実態となっているのでしょうか。こういった疑問から昨年11月中旬より12月中旬にかけて緊急アンケートを実施いたしました。本レポートはこの緊急アンケートを集約したものです。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。