新規事業案件が湧き出るに任せる会社と、継続検討案件を絞る会社。「歩留まり」には大きな違いが出る。新規事業にも思い切った「剪定」(せんてい)が必要だ。
もう一つ指摘しておきたいのが経営者の関与度合の違いだ。
A社はアイディア出しには経営者自らが主体であることが多いが、その後はどんどん興味を失ってしまう傾向が見られるそうだ。忘れた頃になって急に「あの件はどうした?」と担当者に状況報告を求めると、担当者も抱えている案件のどれの話か分からなくなって「あの件とはどの件でしょう?」などと「やぎさんゆうびん」じみたやり取りをすることすらあったらしい。
あまりに多くの案件があるため、経営者の頭の中で各案件が気に留めてもらえている割合はごくわずかとならざるを得ない。当然ながら、A社の経営者が各案件に対し深い知見を示したり適切な方向づけをしたりすることは現実的に難しい。長い期間かけても立ち上がらない企画は一種の「放置プレイ」状態になってしまうとも聞いた。
それに対し、B社の経営者は自らアイディアを出すことは滅多にないが、企画プロジェクトの報告は定期的にさせ、その場で適切な示唆(「指示」ではない)を与えている。そして重要な仮説を検証しているかをきちんと確認させ、見込みが少ないと見ると10ケ月を待たずに中止・撤退または縮小という厳しい判断を下す(とはいえ多くの場合、命令というより担当者自らが判断するよう水を向けている感じだ)。
プロジェクト中断になった担当者は意気消沈しているかと思いきや、心境を尋ねると「次の企画で頑張ります」とさばさばとした感じで答えてくれた。「市場で検証した結果を受け入れる」「全力投球でダメだったら仕方ない」という潔さが感じられて好感が持てたことを覚えている。新規事業
2016.06.22
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2018.01.10
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/ 弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/ 代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/