先日AMAZONの2つのサービスが発表されました。一つはDash Buttonであり、もう一つがAMAZON Goです。どちらも買い物の手間を究極的に省いたサービスです。果たしてこのようなサービスが受け入れられるほど買い物とは面倒なものなのでしょうか?
また日頃スーパーとコンビニが隣接していても何か購入するときに安いからという理由でスーパーに入ったもののレジに列ができている様子を見て諦めてコンビニに入り直すという経験は誰もがしているでしょうし、AMAZON GOも忙しい人にとってはかなり便利なサービスでしょう。
この2つのサービスから感じることは「買い物はそんなに面倒なものなのか?」ということ。特に個人の買い物にも関わらず、、
今までは個人の買い物はどちらかというと楽しみと考えられてきました。
日々の日用品の買い物にしても毎朝チラシを見てどこのお店に買いに行けばよいか決めたり、店に行って本日のお買い得品が何かによってその日の献立を決めたり、このようなことは労力を伴うものの、こういう上手な買いモノを楽しみながらやっている、という気持ちもあったのではないでしょうか。
しかし最近は(私もどちらかというとこちらだが)そういう日頃の買い物にかかる手間が面倒だと感じる人も多くなってきているようです。買い物をサポートしたり、楽に買い物できるような仕組みに対するニーズは益々顕在化してきています。
一方で仕事で企業の買い物をすることについて考えてみましょう。
以前ある企業で開発・設計部門の方にアンケート調査をしたことがあります。その企業では設計者が開発上流の段階で重要な部品のサプライヤを実質的に決めていたのですが、そのプロセスに無駄を感じているというアンケート結果が出ていました。
具体的には設計者のワークロード全体の約10%の工数が業者交渉・見積に費やされており、理想的にはこの業務は開発部門の本来業務ではないので調達購買部門に任せ、その空いた時間を構想設計に振り向けたいという内容です。またサプライヤに関する情報が共有されていない新人だとどのサプライヤに声をかければいいか分からず、「工数がかかる」という指摘もありました。
このように仕事として企業の買い物をすることに抵抗を感じる人も多いでしょう。人によっては値引き交渉を行ったりすることが恥ずかしいと感じる人もいます。特に仕事として企業の買い物をする(調達購買の仕事)ことは、ここに上げる条件を網羅しなければなりません。
・ルール通りに買わなければならない
・買わなければならない(買えないではすまされない)
・交渉をしなければならない
・買うものに詳しくなければならない
こういう条件を考えると買い物は面倒なことなのでしょう。今後AMAZONの2つのサービスのように買いものを効率的に行うことを支援するサービスや楽に買いものできるニーズは益々顕在化していくと考えられます。
これは何も個人の買い物にだけではなく仕事として企業の買い物でも同様のことが言えるでしょう。アマゾンライクやGoogleライクなシンプルなGUIや検索技術、リコメンド機能、在庫補充品のワンクリック購買等、調達購買業務の効率化につながる新しい技術やサービスが生まれ一層発展していくことが近い将来に予測されます。
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2017.06.21
2009.02.10
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。