世界第三位の携帯メーカー・モトローラが携帯事業を切り離す。中国では国産メーカートップのレノボが携帯事業から撤退。日本の携帯メーカーは今後、何社生き残れるだろうか。
モトローラは世界で初めて携帯電話を世に送り出したメーカーである。
一時はその世界シェアが30%を越え、トップをいくノキアにあと一歩
のところまで迫ったこともある。最近でこそサムスン電子に抜かれシェ
アは3位にまで落ちたとはいえ、いまでも全社売上の約半分、日本円に
して2兆円弱は携帯事業によるものだ。ところがその携帯事業がどうに
も赤字体質を脱却できないらしい。そこで売却を視野にいれた事業分離
という経営判断が下された。
中国のレノボ・グループも携帯電話端末事業から撤退するという。中国
といえば世界最大の携帯市場である。2006年の携帯電話端末販売台数
は実に1億2000万台弱、これは前年対比約35%の伸びとなっている。
つまり中国は世界で最もたくさん携帯電話が売れるマーケットであり、
おそらくは世界で最も急成長中のマーケットでもあるわけだ。
普通に考えれば、メーカーにとってこれ以上に魅力的なマーケットはな
かなか見つからない。しかもレノボ・グループは中国でのシェアが約
6%ある。『クープマンの目標値』に当てはめるなら、これは「市場的
認知シェア」に該当する。
これは
「今後よほどの成長が見込まれない限り、市場から撤退する方が賢明
(森行生『シンプルマーケティング』翔泳社、2000年、188ペー
ジ)」なポジションである。中国の携帯市場は、まだまだ成長の余地が
見込まれるのだから、あえて撤退を急ぐことはないはずだ。ましてやレ
ノボは中国メーカーでは国内ナンバーワンであり、海外メーカーを数に
いれても第4位である。にも関わらず撤退、その決断の背景にある同社
の危機感は相当に強いと推測される。
ひるがえって日本の携帯メーカはどうか。
やはり今年に入って、京セラの中国撤退が発表された。これで日本メー
カーはすべて、中国市場から姿を消したことになる。日本メーカーが姿
を消したのは中国からだけではない。むしろ国外で日本メーカーが存在
感を持っている市場などないのが実情だろう。そして国内には依然とし
て約10社ものメーカーがひしめいている。これから先、淘汰の波が押
し寄せるのは歴史的必然といえるぐらい確かなことではないだろうか。
ここで思い起こすべきは、一足先に百貨店業界を襲ったドラスティック
なまでの再編劇だ。いまから10年ほど前、いわゆる大手百貨店が何社
あったかを正確に覚えている方は少ないだろう。逆にミレニアムリテイ
リング、J・フロントリテイリング、エイチ・ツー・オーリテイリング
とこのところ立て続けに誕生した新しい百貨店グループが、過去に存在
したどの百貨店同士が合体したものかを正しくいえる人はほとんどいな
いのではないか。
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