プロが教える!明日からウサギと暮らすため講座 「ウサギはお風呂に入れないですよね?」「入れられるわよ。○○ができれば」

2016.09.20

ライフ・ソーシャル

プロが教える!明日からウサギと暮らすため講座 「ウサギはお風呂に入れないですよね?」「入れられるわよ。○○ができれば」

武田 真優子
つむぎペットケア 老犬介護スペシャリスト/もふもふ認定動物看護師

ウサギと暮らすことがはじめての「ボク」が、ウサギのプロであるウサギカフェ店長「武田さん」に、ウサギについて教わってゆきます。この記事を読めば、「ウサギってよくわからない…」から、「ウサギのことならわたしに聞いて!」となることを保証します。今日の内容は、今までのウサギに対する「あなたの常識」を覆すことになるでしょう。

■「うさんぽ」と「うさぶろ」をしてみる


「うさぶろ」は、わたしが作った言葉なんだけど、ウサギをお風呂にいれることね。もう一度言うけれど、ウサギは基本的にはお風呂に入れる必要はないわ。そして、人間が入るように熱くてたっぷりのお湯にざぶんと入るのではなく、3cmくらいの深さで35℃くらいのぬるま湯に浸かるって感じね。またドライヤーを使って乾かす場合は、熱風でやけどしないように気をつけないとね。

もし「うさんぽ」と「うさぶろ」をするとき、大切なことは、「すこしずつ、すこしずつ」すること。

動物全般に言えることだけど、なにか新しいことを覚えてもらいたいときは、わたしたちが考えるよりもずっとずっと、すこしずつすこしずつしないと、「怖い」と思ってしまう。そう思ってしまうと、受け入れてもらうことが大変になるの。

これは、例えば、イヌの歯磨きと同じね。彼らには「歯を磨く」という習慣はない。だから、歯を磨くことが大事だとは理解できない。それなのに、飼主さんがいきなり口の中に歯ブラシを突っ込んだから、多くのイヌはショックだし、怖いから、歯ブラシを見た瞬間に逃げ出したり、噛みついてくる子もいるのよ。

大事なことは、「すこしずつ、すこしずつ」すること。これはほんとうに大事なことだから、覚えておいてね。

さて、話を戻すわ。

「うさんぽ」も「うさぶろ」も、しよう!と思ったときに最初にすることは、その子の性格を見極めること。

「明るくて、人なつっこい子」もいれば、「内気で、飼主さんにしか懐いていない子」もいる。ヒトと同じで、それぞれ性格が違うからね。内気で、飼主さんにしかなついてない子は、とくに、「すこしずつすこしずつ」してあげてね。3ヶ月くらいかかるような気持ちで。

ハーネスをつけたことがないどれくらい少しずつかというと、例えばだけど、

1日目:外に連れて行こうと飼主さんが思う→すかさずほめて、おやつ 2日目:ハーネスを見せる→すかさずほめて、おやつ
3日目:ハーネスをつけてみる→すかさずほめて、おやつ

嫌がったらそこで、やめること。次の日はまた同じことを繰り返してみて。嫌がらなかったとした4日目は、

4日目:ハーネスをつける時間を長くする→すかさずほめて、おやつ

ほんとうに「すこしずつ、すこしずつ」よね。

ちなみにこの「すかさずほめて、おやつ」は、イヌのデータだけど、飼主さんが望む行動をした0.5秒後~1秒後あたり。イヌ短期記憶能力は最大で2~3秒だと言われているのよ。飼主さんはおやつを手に持っている準備をしておいてね(笑)

次に大事なことは、”ウサギにとっていいこと”とセットにで覚えてもらうこと。

「ハーネスをつけたら、おやつがもらえる」「キャリーバッグに入ったら、ほめてもらえる」など、ウサギは自分にとって都合のいいことは、ほんとうによく覚えているので、この方法はお勧めよ。

「うさぶろ」については、ほんとうに「すこしずつ、すこしずつ」の段階を踏んで、お風呂に入れるのよ。もちろん初めから大丈夫で、お風呂が大好きな子もいるけれど、基本的にウサギは濡れることが苦手だから段階をつけて、慣れていってもらうの。

例えば、わたしのウサギに「うさぶろ」に慣れてもらった段階を書き出すわね。

1)ヒトにふれられる
2)普段からのグルーミングをする
3)あおむけにされる
4)狭い場所でじっとしている
5)お風呂場にいることになれる
6)ドライヤーの音をなれる
7)下半身だけ洗う
8)全身を洗う

この8つの段階を経ながら、3ヶ月くらいかけて慣れてもらうつもりやったのよ。長時間かかる時には休憩を入れながら、ウサギの様子をみることも大切よ。無理せず、気長にやりましょうね。


■ある日、あるウサギカフェでの続きの話


ボク 「ウサギの皮膚が濡れたままだとどうなるんですか?」

武田さん 「毛が抜けてしまって、赤くなってくる。わたしの経験だけど、およそ6時間、あるウサギの目尻が涙で濡れたままだったことがあったのね。それで目尻の毛が抜けてきてしまったの。もちろん、これは水ではないけれど、ウサギは濡れた状態に弱いことはたしかね。もともとが乾燥地帯の動物だということも、関係があるかもしれない」

ボク 「そうなんですね。今日のお話伺って思ったのは、この子ウサギくらいのときに、体中触れるようにしておくことが大事なんですね」

武田さん 「そうね、そうすると、獣医師や動物看護師さんも、怖がらずにさわってくださるようになると思うわ。ウサギは学習能力が高いから、何度もしていると覚えるし慣れる。そのときにはすかさずほめてあげてね」


※2016年9月20日に初稿を公開しましたところ、さまざまなご意見を頂戴し、見直しを行いました。基本的に健康なウサギにはお風呂は必要ありません。しかし、高齢や病気によりお尻まわりや全身が汚れてしまった、またダニなどの寄生虫が付着した場合に身体等を洗ってケアすることが想定されます。もちろん、そうならない環境を整えてあげるのは飼い主さんの役割かと思いますが、何が何でも水で洗ってはいけないとなると、かえってウサギの衛生環境が悪化する場合もあり、そのような事態に備えて飼い主さんに考えておいてもらいたいと思い、本稿を執筆しました。


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武田 真優子

武田 真優子

つむぎペットケア 老犬介護スペシャリスト/もふもふ認定動物看護師

ペットホスピスをつくるために地方移住予定/うさぎと暮らすペットヘルパー/認定動物看護師。老齢動物介護/グリーフケア/ペットマッサージ

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