何事も逆の立場でモノを考える、捉える、検討する、経験する、ということはとても重要なことです。それによって真実が見えてくるからです。
そうすると自社の購買部門からもらった見積りの内容を顧客の購買部門の(怖いバイヤー)から突っ込まれないように事前にその内容を確認しようとします。例えば、見積明細を元にこの工程はどういう工程ですか、とか、この工程は必要ですか、とか、図面を見ると材料費が高いようですけど、あっていますか、とか、、このような具合です。
そのうちに自社の購買部門の一部のベテランバイヤーからめちゃくちゃ怒られました。「お前は人に質問する仕方がなっていないと。。」
こんな経験が私の社会人人生の原体験なのです。そう、購買部門の方は怖い、というのが私の原体験でした。
しかし次第に顧客の購買部門の方ともまともに会話できるようになりました。彼は彼で上司に説明すると同じ様に突っ込まれていて、それに答えられるように私に質問しているんだ、ということが次第に分かってきたのです。また彼(元をたどると彼の上司)の突っ込み所とそうでない所が分かるようになり、段々と仕事の進め方や優先順位の付け方も分かってきました。
一方で自社の購買部門の方からも怒られ続けながらも協力してくれる人が増えてきました。
後で聞いた話ですがその頃の私は「何でなんですか」の野町、と呼ばれ購買部門の中でも有名だったそうです。このように怒られ続けながら購買とは逆の立場で仕事をしてきたのがこの頃の私です。この頃学んだ管理会計の知識や予算管理の知識、原価企画の知識は今でもたいへん役にたっています。
そして3年過ぎたある日、突然上司に異動を言われるのでした。購買部門へ異動と。
購買部門へ異動し発注担当にならないと分からないことも多くありました。しかし、逆の立場(サプライヤとして、社内ユーザーとして)購買部門にコンタクトしなければ分からないことも多くあったのです。
このように、「逆の立場になって考える、行動する、理解する」所謂「鏡の向こう側の視点」はとても大切なことだ実感したのが私の社会人最初の経験でした。
最近は営業の方に対して購買部門の人の立場や考え方を逆の立場で話をする機会も増えました。また交渉力研修でも「相手の本来のニーズを知ること」が重要だと、皆さんに教えます。このような「鏡の向こう側の視点」をできる限り大切にすることを最近でも感じていますし、その原点が私の社会人での最初の仕事だと考えています。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。