新入社員が辞める定説を自らの経験談を交え、 仮説を立てながら、対応策を検討してみる。
そして最後の仮説は、「上司のマインドが変化している」ことだ。
往々にして、「若者がすぐにやめるのは、今の若者には根性がないからだ。」
という、感情的仮説を言いたがる管理職が多い。
確かに前述の仮説のとおり、様々な要因によって、若者自身の変化もあるだろう。
しかし、実は、上司自身も昔と変わっていることに気づいていない人が多い。
「部下を飲みに誘って、最近の若手はついてこない」と思った経験は
ないだろうか?
昔とは違う。今は、部下と上司はパートナーの関係であり、
ちゃんと飲む(飲めない部下であれば食事でもよい)環境を
創る必要がある。
それでも、「なんで上司がそんな気を使わなければならないんだ!」
と思う方もいるだろう。
しかし、これまでの仮説の通り、時代と環境は変化している。
という明確な答えが待っている。
現在とくらべ、昔の上司は、愛社精神が強かったのかもしれない。
愛社精神が強ければ、会社発展のために部下がいやがろうが、
強引に飲みに連れていった。しかし、高度経済成長期の集団主義から、
バブル崩壊頃から個人主義への移行し、上司自身も愛社精神による
部下教育より、自己保護による意識が働いているのではないだろうか。
つまり、部下を飲みに誘って断れた後に寂しい気持ちになり、
そこから、「そこまでして、部下を教育するつもりはない。」
という割り切った気持ちにはなった経験はないだろうか。
これら、3つの仮説は、統計的データこそないが、
私の経験として痛感しているものである。
実際私も、1996年と2007年の転職では、その環境は大きく
様変わりしていた。
これらの仮説が絡みあって「若手が転職しやすい」とするならば、
現代の上司は、昔以上に自社のために若手を教育する熱意をもう一度、自ら湧きたてる必要がある。
転職容易時代だからこそ、
自分のプライドよりも、部下を育てることに全力を注ぐ。
仕事の楽しさを教える。
ある意味、昔の上司よりも環境が異なるために、
今の上司に求められる難易度も高いわけだ。
そのためにも、若手達が”転職することより、自社で働く方がやりがいがある。”と本気で思えるように、会社の制度、報酬以外の価値、人間関係を
整備する必要がある。
コーチングなどのコミュニケーション技術が必要となっている背景もここにある。
上司としては、決して、部下におべっかを使うということではなく、
部下へ愛情をもって、厳しく、楽しく一緒に仕事することを
心がけることが若手もベテランも、モチベーションをもって
働くために必要なことなのだ。
部下が辞めないためのKEYは上司が持っているのだ。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2008.03.06
2008.04.04
株式会社メンター・クラフト 代表取締役社長
http://www.mentor-craft.co.jp/ http://www.mba-noryoku.com/ 大学卒業後、大手エレクトロニクス商社に勤務。その後、IT業界、映像コンテンツ業界と15年間の営業・企画・マネージャー等の経験を経て、 2007年4月に(株)メンター・クラフト設立。 豪州ボンド大学大学院 MBA(経営学修士) エグゼクティブ・コーチ(JIPCC認定) 日本コーチ協会正会員