新入社員が3年で辞める本当の理由

2008.02.04

組織・人材

新入社員が3年で辞める本当の理由

葛西 伸一
株式会社メンター・クラフト 代表取締役社長

新入社員が辞める定説を自らの経験談を交え、 仮説を立てながら、対応策を検討してみる。

そして最後の仮説は、「上司のマインドが変化している」ことだ。
往々にして、「若者がすぐにやめるのは、今の若者には根性がないからだ。」
という、感情的仮説を言いたがる管理職が多い。
確かに前述の仮説のとおり、様々な要因によって、若者自身の変化もあるだろう。
しかし、実は、上司自身も昔と変わっていることに気づいていない人が多い。

「部下を飲みに誘って、最近の若手はついてこない」と思った経験は
ないだろうか?

昔とは違う。今は、部下と上司はパートナーの関係であり、
ちゃんと飲む(飲めない部下であれば食事でもよい)環境を
創る必要がある。
それでも、「なんで上司がそんな気を使わなければならないんだ!」
と思う方もいるだろう。

しかし、これまでの仮説の通り、時代と環境は変化している。
という明確な答えが待っている。

現在とくらべ、昔の上司は、愛社精神が強かったのかもしれない。
愛社精神が強ければ、会社発展のために部下がいやがろうが、
強引に飲みに連れていった。しかし、高度経済成長期の集団主義から、
バブル崩壊頃から個人主義への移行し、上司自身も愛社精神による
部下教育より、自己保護による意識が働いているのではないだろうか。
つまり、部下を飲みに誘って断れた後に寂しい気持ちになり、
そこから、「そこまでして、部下を教育するつもりはない。」
という割り切った気持ちにはなった経験はないだろうか。

これら、3つの仮説は、統計的データこそないが、
私の経験として痛感しているものである。
実際私も、1996年と2007年の転職では、その環境は大きく
様変わりしていた。

これらの仮説が絡みあって「若手が転職しやすい」とするならば、
現代の上司は、昔以上に自社のために若手を教育する熱意をもう一度、自ら湧きたてる必要がある。
転職容易時代だからこそ、
自分のプライドよりも、部下を育てることに全力を注ぐ。
仕事の楽しさを教える。
ある意味、昔の上司よりも環境が異なるために、
今の上司に求められる難易度も高いわけだ

そのためにも、若手達が”転職することより、自社で働く方がやりがいがある。”と本気で思えるように、会社の制度、報酬以外の価値、人間関係を
整備する必要がある。
コーチングなどのコミュニケーション技術が必要となっている背景もここにある。
上司としては、決して、部下におべっかを使うということではなく、
部下へ愛情をもって、厳しく、楽しく一緒に仕事することを
心がけることが若手もベテランも、モチベーションをもって
働くために必要なことなのだ。

部下が辞めないためのKEYは上司が持っているのだ。

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葛西 伸一

株式会社メンター・クラフト 代表取締役社長

http://www.mentor-craft.co.jp/ http://www.mba-noryoku.com/ 大学卒業後、大手エレクトロニクス商社に勤務。その後、IT業界、映像コンテンツ業界と15年間の営業・企画・マネージャー等の経験を経て、 2007年4月に(株)メンター・クラフト設立。 豪州ボンド大学大学院 MBA(経営学修士) エグゼクティブ・コーチ(JIPCC認定) 日本コーチ協会正会員

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