内定(内々定)を得た現学部4年・修士2年の学生の皆さんは、いよいよ人生を決める時期になりました。内定先から入社先を決める決断をすることになります。それはすなわち、入社先以外の内定先を断ることであり、そうした内定辞退で起こるストーリーを考えてみましょう。この時期は、まだ内定が無いという相談以上に、内定辞退について筆者のところに相談に来る学生が多いのです。
不在だった場合はかけ直しで良いですが、一度電話した後であればメールを送るのも悪くありません。メール本文にて、「先ほどお電話いたしました〇〇大学〇〇学部4年の〇〇ですが、まずは取り急ぎメールにて失礼させていただきます」と書いて、要件を伝えます。ただしメールを送った後も、しつこく相手が捕まるまで、電話は続けることを忘れないで下さい。
今行っていることは、いたずらをして小学校の先生に怒られているのはありません。ビジネス交渉です。交渉から逃げるのではなく、会いづらい相手に、苦手な内容を伝えるという、非常に高度なコミュニケーションです。先方からメールで、「本件了解」という返事が来ない限りは、決してこちらから連絡をあきらめてはなりません。
さらに高度なテクニックとして、直接お詫びに行くという手段もあります。いずれにしても、一度着手したら、結果を出すまで最後までやりぬいて下さい。仮に電話や面会で激しく怒られたとしても、先方はあなたを勝手に入社させることは不可能です。あなたの意思が決まっている限り、コンプライアンスの求められる企業社会で強制入社は絶対にありません。
5.交渉が終わって
ここで述べた内定辞退のプロセスをどう感じたでしょう。とても勇気が持てない恐ろしいものでしょうか。しかし会社に入った後は、日常的にこうした謝罪の場面は訪れます。特に文系の営業職や企画職など、人と接する仕事をする業務であれば、どんなことがあっても逃げることのできない「仕事」の一つです。
しかしこの厳しいコミュニケーションを学生の内にクリアできたらどうでしょう。就活面接通過どころか、その何段階も上のレベルの、実践ビジネスコミュニケーションに成功したことになるのです。就活では、わずか数か月~半年程度の間に大きな自己成長が見られます。就活が終わった後でも、これだけの困難な課題を処理できれば、確実に人として、社会人として成長するのは間違いありません。内定辞退という経験を経ずに入社する学生より、二歩も三歩も差が付くことになるでしょう。
皆さんの成功と、事態をくぐり抜けた末の大きな社会人としての成長を祈ります。
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2017.11.14
2018.07.26
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。