タイトルを見て、ドキッとした方も多いのではないだろうか。仕事は確かに、予定通りには終わらないものだ。もちろんたいていの方が、仕事を一つ受けるたびに予定を立て、締切りに間に合わせようと努めているだろう。けれども、スケジュール通りにことが運ぶことは滅多になく、いつもぎりぎりになって慌てふためく。そんなことは、本書を読めばなくなる(はずだ)。
確かに仕事は簡単には「終わらない」
筆者(本のではなく、この記事の)は自営業を営んでいる。主な生業は、取材をして原稿にまとめること。だから、一般的なビジネスマンの方とは違い、基本的に仕事は自分でコントロールできる(実際には少し異なるけど)。収入が減ることや、次から仕事を発注してもらえないリスクを取るなら、オファーを断る自由もある。このあたりは、上司から仕事を投げられたら、嫌とはいえない一般のビジネスパーソンとはかなり違う。
だから、むやみやたらと仕事を受けさえしなければ、ゆとりあるワークライフを送れる。例えば、現時点で抱えている仕事は、企業トップの取材原稿(6枚ぐらい・締め切りは1週間後)、情報誌の特集(6ページ分・締め切りは7月末)、対談本の原稿(200枚・締め切りは7月末)、企業の周年誌(100枚・締め切りは7月末)、学会取材本の原稿(400枚・締め切りは9月末)、会社案内(30枚ぐらい?・締め切りは?)。
いずれも、まだまだ余裕たっぷり。これぐらい時間があれば、よもや締め切りに間に合わない、なんてアクシデントは起こるはずがない。
とらぬ狸のなんとやら
ところがである。本書と出会っていなければ、おそらく一ヶ月先、7月の20日頃には、「エライコッチャ、あと10日しかない。どないしょう」となっていただろう。
危機に至るプロセスは、かなりくっきりと目に浮かぶ。大きな締め切りが3本重なるとはいえ、7月末といえばまだ40日もある。6月中にぼちぼち構成を考え始めて、7月に入ったら気合を入れて取材もして、七夕明けぐらいから本気で書き始めれば、大丈夫、きっと間に合う………。
これぞまさに『とらぬ狸の皮算用』である。そんなに思い通りにことが運べば、誰も何も苦労することはないし、たいていの人が締め切りを守れるはずだ。けれども、現実はそう甘くない。こんなぬるい考え方で取り組んでいると、十中八九、間に合わなくなる。
理由は実に簡単だ。7月に入ったら、あるいは明日にでも、新しい案件が横から入ってくるからだ。スケジュール表を見ると、来週に一本、再来週に三本新しい仕事が予定されている(ウッ!やばい)。あるいは、昨日提出した原稿について、大幅なやり直しを指示されることもあるだろう。もしかすると本業とはまったく関係のない雑事が紛れ込んでくるかもしれない。その結果、どうなるか。7月25日ぐらいから睡眠時間を削り、仕事場に籠もり、げっそりとやつれ、挙句の果てには、締め切り前日に「泣き」のメールを入れることになるのだ。「すみません、あと一週間ほど、締め切りを伸ばしていただけませんか」と。
関連記事
2015.07.17
2009.10.31