就活において誰もがぶつかる会社選び。しかし「良い会社選び」とは、簡単なものではありません。卒業して入社した後、会社員としてこれで良かったのか?と思うのはむしろ当然なくらい、それは難しいことなのです。
まったくもって余計なお世話を焼きますが、では配偶者や恋人に100%満足している人はいるのでしょうか?恐らくほとんどの方は100%疑いなく、ご自分の奥さんや旦那さん、彼氏彼女に満足しているに決まってます・・・が、世の中にはそうでもないという人は、少なくとも私の周囲の実地調査では存在しています。
それが良いか悪いか、本当かウソかはともかく、相手へのモチベーションのピークを永遠に維持し続けることは相当難しく、上がったり下がったりを繰り返し、時間の経過とともにお互いに納得を深め、理解が進み、さらにより良い関係性になっていくのが理想と思います。そして世の中のすべての人がこうしたお付き合いをしているとは限らないという現実もあります。要は自分が好きか嫌いかでしょう。その判断に周囲の友人やら家族の意見より、ご自分の気持ちこそが最も重要なはずです。
・良い会社を選ぶ魔法?
人生の一定期間を過ごすであろう就職先の選ぶのもパートナー選び同様人生の重大な選択です。誰も失敗はしたくないし、成功できる会社選びは誰しもが思うものでしょう。ではそれを担保する基準はあるのでしょうか?
「無い」といってしまうのは悲しすぎますが、いわゆる財務情報や企業分析を通じても、そもそもその会社関係者でもない外部の人間が、100%その会社を理解できることは難しく、きわめて限られた情報だけで判断をすることになります。また財務情報などの数値は企業の経営状況を計るためのものであって、そこで働く人との相性や適性については何一つ担保できるものではありません。
初任給や平均在職年数、退職金や福利厚生情報など、学生の多くは会社員経験が無い中、手に入る情報だけで判断を進めます。こうした数字も、さまざまな会社の選び方も、傾向値であったり、そもそも根拠の乏しいものだったり、絶対的な判断基準や指標は存在しないことこそが唯一断言できることだと思います。
私は「良い会社を選ぶ秘術」など存在しないと思っています。またこの世の誰にとっても「良い会社」という存在も無いと思っています。「天職」と呼ばれるようなものは、その宗教においてはあり得るかも知れませんが、科学的に存在する訳がありません。もしそんなものを求めて就活が進まないのであれば、何より一日でも早くエントリーを進めるべきです。
その会社の収益構造や市場の未来について、就活前から見ておくべきものであり、そうしたビジネスモデルとご自身の役割・能力の合致こそが、最良のマッチングだと思います。キャリア決定は人生を決めること。ぜひ周囲の無責任な意見や書込みなどに乗せられることなく、しっかり考えましょう。ご自分の能力が発揮できる可能性という、答えのない問への思考はずっと続きます。しかしずっと続くからこそ、こうした思考を続けられれば、大きく外れたキャリア選択にはなりにくいといえるでしょう。
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2016.05.24
2016.06.07
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。