連載「ダメ面接官の10の習慣」では、ダメな面接官に共通する特徴を取り上げながら、面接の質を向上させ、採用力を高めるためのノウハウをお伝えしていきます。第7回のテーマは「ダメ面接官は最初に自己PRと志望動機を聞く」です。
まずは、面接官が候補者の「人物仮説」を作る
ダメ面接官は、情報の集め方が下手だったり、パーソナリティーに関するフレームワークが少なかったりするために、候補者が一体どういう人物でありそうかという「人物仮説」を作ることが苦手です。そもそも人間はとても複雑ですから、多少話をしただけで「この人はこういう人物だ」と簡単に言えるものではありません。ダメ面接官が「人物仮説」を作るのが苦手でも不思議ではないのですが、彼らは目の前の応募者について決定的なイメージが湧かない「曖昧な状況」に耐えられなくなると、早く明確なイメージを得たいあまりに、候補者に「自分自身のことをどう分析しているか」と聞いてしまいます。しかし、その分析こそが面接官の仕事であり、それを相手に委ねてしまうと、「確証バイアス」×「ハロー効果」のわなにはまる可能性が高まります。
まずは相手に頼ることなく、「曖昧な状況」に耐え、拙速に答えを探そうとせずに質問を続け、自分の手で「人物仮説」を作らなければなりません。自己PRで強みや弱みなどを聞くのはその後がよいでしょう。そうすれば、確証バイアスのわなにかかることなく、面接官が作った人物仮説と、候補者自身の自己認知がどれだけすりあっているのか、あるいはギャップがあるのかがわかります。これが募集ポジションの人物要件に合うかどうかの判断材料となります。
初期段階の面接で志望動機を聞いても意味がない!?
選考フロー初期段階の面接で聞く志望動機も、場合によってはあまり意味がありません。こちらから送ったスカウトに対して応募してくれた方や、同時に複数の企業の選考を受けていて自社はそのうちの一社という候補者は、そもそもまだ自社をはっきりと志望していない可能性が高く、「少し興味があるだけ」ということが大半でしょう。そのような候補者に志望動機をことさら詳しく聞いても、中身のある話はあまり出てきません。「貴社の○○事業が社会に提供している価値にひかれました」という具合に、誰でも言えるような自社の事業説明を聞くのがオチです。それでは候補者の人となりはわかりません。
志望動機よりも「選社基準」を聞こう
選考フロー初期段階の面接では、志望動機よりも「選社基準」を聞くほうが有益な情報を得られると思います。「なぜ当社?」ではなく、「どのような基準で企業や仕事を選んでいるのか?」を聞くわけです。そうすれば、無理やり自社の事業内容にこじつけた話ではなく、候補者自身の価値観やキャリア観などを聞き出せます。結果、面接する側としても意味のある情報が手に入るのです。さらに、「なぜそういう価値観を持つようになったのか?」も重ねて質問すれば、候補者のこれまでの人生を聞くことができ、より候補者のパーソナリティー理解に役立つでしょう。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
中途採用
2016.01.20
2016.01.27
2016.02.24
2016.03.02
2016.03.17
2016.03.30
2016.04.14