ALLIANCE(アライアンス)。主に国同士の同盟や企業間の提携を指す言葉です。2015年に発刊された『ALLIANCE 人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』は、そうした提携関係を、働く人と企業の関係に持ち込むことを説いています。シリコンバレーのハイテク新興企業コミュニティーで、どのように“働く人と企業のアライアンス”が成立しているのか、日本の労働社会にも参考になる本書のエッセンスを紹介します。
「卒業生ネットワーク」は企業を退職した人たちをSNSでつなげることや、定期的に同窓会を開くことなどで活性化できます。そうすることで、優れた人材の獲得や有力な情報の取得、卒業生を通じた顧客の紹介、さらには卒業生が自社のブランド・アンバサダーになってくれるといったメリットを、企業側は享受できます。
守れない長期的な約束より、対等な立場で期間を区切った約束を
本書が言及するビジネス環境や雇用モデルの変化は、米国を念頭に描かれたものです。日本は米国ほど雇用の流動化は進んではいないと思われますが、一方で、今や転職は日本の労働社会でも一般的です。また自らのキャリア開発に個人が主導権を持つ、「キャリア自律」という考え方も広まってきています。
「終身雇用」というような、実際には守れるかどうかわからない約束ではなく、対等な立場で、期間を区切った約束を積み重ねることで、かえって長期的な信頼を醸成していく……。こうしたアライアンスの考え方は、日本の企業と働く人の関係においても、大いに参考となるでしょう。
文:五嶋正風
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