「最近のバイヤーは机の前に座ってコンピューターをカチカチやっているから、その姿だけ見ると何の仕事をやっているのか分からない。」と。一方で、調達コストの7-8割が開発設計の上流段階で決まってしまう、これが定説と言われています。ならばいっそのこと調達購買部門は技術に詳しい人間だけ集めて開発設計部門の傘下にいればよいのではないか。このような声に対して購買部門はどこを目指すべきか、考えていきます。
モノの調達に関しては1から10まで任せてくれ、と言えるバイヤーって現在どれ位いるでしょう。決して多くない筈ですし、それができるだけでも相当な価値ではないかと。
これらの考え方は組織論や部門のロケーションなどにも関連します。最近の動向としては多くの企業では開発購買の強化や開発・技術のソース機能の強化を目的に調達購買の拠点を開発拠点の近くに設置するケースが増えているようです。一方で生産製造機能を強化する目的であれば調達購買は一つの製造拠点であり、製造本部の傘下に位置づけるケースもあります。
今まではどちらかというと開発・技術ソース機能に重点がおかれてきたかもしれませんが、生産製造機能強化という役割もノウハウの塊と言えるでしょう。この場合、より事業やプロジェクトに近い立場になりますから、収益への貢献やプロジェクトを成功裡に終わらせることが目標になります。いわゆる事務仕事だけでなく、このような達成感を得る機会があるのとないのとでは、バイヤーのモチベーション自体が大分変わってくるでしょう。最近は生産活動がグローバル化しており、グローバルでのサプライヤの
ものづくりに関するコンサルタント的な機能が求められ始めているとも言えます。
いずれの方向にしても共通するのは単なる事務仕事からの脱却です。A社B社にRFQを展開し回答をもらい見積の比較を行い、安いところに発注する、これでは誰でもできる業務であり事務仕事にすぎません。今回は2つの方向を取り上げましたが、それ以外にも果たさなければならない機能、果たすべき機能はあるでしょう。
正に調達購買部門は転換点を迎えているのです。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。