購買部門はどこを目指すのか

画像: PhotoAC サンサンさん

2016.03.09

経営・マネジメント

購買部門はどこを目指すのか

野町 直弘
調達購買コンサルタント

「最近のバイヤーは机の前に座ってコンピューターをカチカチやっているから、その姿だけ見ると何の仕事をやっているのか分からない。」と。一方で、調達コストの7-8割が開発設計の上流段階で決まってしまう、これが定説と言われています。ならばいっそのこと調達購買部門は技術に詳しい人間だけ集めて開発設計部門の傘下にいればよいのではないか。このような声に対して購買部門はどこを目指すべきか、考えていきます。

最近ある企業の調達本部長から言われたことがあります。「最近のバイヤーは机の前に座ってコンピューターをカチカチやっているから、その姿だけ見ると何の仕事をやっているのか分からない。」と。

一方で、調達コストの7-8割が開発設計の上流段階で決まってしまう、これが定説と言われています。ならばいっそのこと調達購買部門は技術に詳しい人間だけ集めて開発設計部門の傘下にいればよいのではないか。
このようなことを「中国調達とものづくりの現場から」というメルマガを発行しているZhenさんが書かれています。

このようなことからふと思うことがあります。
調達購買部門はどこを目指せばよいのか、と。

この10数年間調達購買部門は欧米型手法のコンペ、入札、サプライヤ集約、集中購買などの活用に追いまくられてきました。こういう活動の中で実は大切な機能を置き忘れてしまっていたのではないでしょうか。それはどのような機能でしょうか。

一つは開発・技術のソース機能です。ある企業は完全に開発ソースを調達購買部門の機能としてフォーカスしています。その企業ではTQCDとテクノロジを優先順位1位にしています。ここではより一層サプライヤの窓口機能として技術開発や技術探索にフォーカスしていき、より開発購買機能を充実させていく、という方向を目指しています。

製造よりへの機能シフトも上げられます。

先日ある会社の調達購買部門向けの研修をやったのですが、その企業の調達部門は製造部門傘下にあります。所謂パーチェシング中心の業務に従事している方が多くいらっしゃるのですが、そこで業務プロセス改革の研修をやったところ、皆さんの改善意識の高さに驚かされました。
「日本のモノづくりの強みはそのマネジメント手法にある」と以前メルマガでも取上げましたが、正にそれを感じる場になりました。
従来当たり前の業務としてやっていた納期進捗、納期改善、サプライヤの現場視察、品質トラブル対応等々、もっと言えば今まで購入したことがないようなものまで、タイムリーに探し出し、必要な時期までに揃えておく、こういうモノをちゃんと作っていく機能はそれだけでもたいへん重要な役割です。また、こういう方向を目指すのも一つの生き残る道ではないかと考えます。

以前プラントメーカーの調達購買の方のプレゼンを聞く機会がありましたが、この業種での調達購買部門は完全にこの役割を果たすことを求められるようです。単に資機材だけでなく作業者や作業者の衣食住までも含めた1から10までを責任を持って必要な納期までに揃えなければならない。正に軍隊における兵站そのものです。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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