「時間管理」と言うが、そもそも時間など誰にも管理することはできません。 時間はすべての人にとって平等だからです。 では管理すべきこととは何でしょうか?
タイム・マネジメントとは直訳すれば時間管理です。しかし、逆説的かもしれませんが、時間は管理することはできません。
会議が退屈だからといって時間を縮めたり伸ばしたりすることはできません。退屈だろうが、気分悪かろうが、コントロールできるのはあなたの言動だけです。
あなたにできるのは、決まった時間の中で、何を考え、どのような行動をするかです。また、他人の思考や行動も管理することはできません。いくら相手の発言に不愉快になったところで、相手の気持ちや意見、言動をコントロールすることなど不可能です。
つまり、タイム・マネジメントとは、正確に言えば、セルフ・マネジメントなのです。自分自身を自分が管理することです。
こう聞くと、「自分で自分を管理することなんて、毎日当たり前にやっている!」と思う人も多いかもしれません。
しかし、思い返してください。今日1日、今週1週間、あなたが計画していたことをすべて達成することができたでしょうか?
単なるルーティンワーク上の処理事項なら達成できたかもしれませんが、前々から懸念になっている課題に対して前向きで、生産的で、自分自身の成長も含めた計画をきちんと実行することができたでしょうか?
ビジネスにおいて、自分自身の行動を適切に計画し、実行し、マネジメントする、このサイクルをマネジメントできる人は、本当に少数です。実際には、マネジメントの前に、適切な計画=プランニングができている人すら少ないかもしれません。
よく言われるタイム・マネジメントの障害は、上司からの突然の依頼や呼び出し、クレーム、飛び込み仕事、といった外から来るもの、また、作業量の見込み違い、計画の意識的な変更、作業中のミス、トラブルなど、自分自身が原因で起こることです。
こうしたことが起きた際に、原因を外の問題にしてしまい、被害者意識に陥ってしまっては、到底セルフ・マネジメントができているとは言えません。
別な意味で捉えれば、外部からであれ自分からであれ、依頼事項やクレーム、ミスの発見はフィードバックと言えるものです。
こういう人はフィードバックを攻撃だと認識したり、自分の計画を邪魔されたと感じたり、計画が変わることを悪だと思ってしまいます。そして少しずつ周囲からのフィードバックから身を遠ざけようとし、遮断しようとしてしまいます。
外部から来るものは受け入れ、自分自身の問題として対応し、計画をリニューアルすれば済むことです。
すべてを自分の問題として捉え、常に行動計画(セルフ・マネジメント)をより良いものにしていく、これがタイム・マネジメントです。