コンテンツマーケティング進行により、営業不要の時代に

2016.01.11

営業・マーケティング

コンテンツマーケティング進行により、営業不要の時代に

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

アメリカでは今後5年間で、営業マンの22%、100万人が仕事を失う。そんな調査結果をForrester社が発表した。今後のコンテンツマーケティングの進行を前提にした話である。日本でもオウンドメディアを運営する企業が増えてきた。このトレンドの先に待っているのは、どんな世界だろうか。B2B企業の営業マンは、本当に要らなくなるのだろうか。

顧客の邪魔をしないキーエンスの営業スタイル

顧客訪問は週に3回まで、行くときには必ず何かおみやげ(=顧客に役立つ情報)を持っていくこと。以前キーエンスを取材した時に、経営企画室長から伺った話である。
営業は顧客を訪ねてなんぼ、一年間に何足靴を履きつぶしたかで評価される。そんな従来型の根性営業セオリーとは真っ向から対立するのが、キーエンスの営業に対する考え方だ。
なぜ、キーエンスでは顧客訪問に縛りをかけるのか。単なる顔出しあいさつの営業訪問は、対応する顧客にとって純粋に時間泥棒にしかならないからだ。これに対して、顧客がその時に知りたかった情報を持ってきてくれるのなら、その訪問は顧客にとって価値ある時間となる。だからキーエンスの営業マンは、顧客訪問の前の準備に時間をかける。
いま顧客が抱えている問題は何か。その問題を解消するためには、どんなソリューションがあるか。顧客が勝負している市場の動向を調べ、顧客の競合の動きをリサーチした上で顧客のところに出向く。事前準備に時間がかかる。
こうした努力をしているからキーエンスの営業マンは、顧客の生産ラインにまで招かれ、アドバイスを求められる。キーエンスの営業マンが一方的に話すのではない。顧客の相談に応えるのだ。これこそ本来の意味でのコンサルティング営業である。そうした会話を通じてキーエンスマンは、顕在化していない顧客の問題点を見ぬき、課題を解消する製品を開発する。このメカニズムが同社の異常な高収益率を生み出している。

必要な製品や情報はネットで自分で探す

とはいえ、キーエンスがカバーしてくれるのは、ごく一部の企業にすぎない。同社とは関わりのない企業に勤めるあなたが、業務を行う上で何らかの製品やサービスが新たに必要になったとしよう。その時、あなたはどんな行動を取るだろうか。あなたの会社の取引先の中で、その製品・サービスを扱っていそうなところを見つけて、営業マンに電話をかけるだろうか。
今どき、そんなことをする人は少数派のはずだ。とりあえず自分で検索してみる人が、圧倒的多数派ではないか。仮に取引先営業マンに電話をかけるとしても、その前にひと通りはネットで調べて、情報を頭に入れておくぐらいのことはするだろう。
自分で調べるのは、自分都合でいつでもどこでも、ネットに繋がりさえすればできる。アポイントを取って営業マンを呼ぶよりも、そのほうが便利で、時間を無駄にしない上に、得られる情報も幅広い。となると、そうした製品・サービスを提供する側としては、自社のサイトを見に来てもらわないことには話にならない。

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