ソニーが今年7月、クラウドファンディングとEコマースのサービスを兼ね備えたサイト「First Flight」を立ち上げた。その背景には同社が力を入れる新規事業創出プログラムがある。新たな顧客価値の創造を目的に、社内から提案される新たなビジネスコンセプトのスピーディーな事業化を促そうという取り組みには、創業から全盛期にかけての“ソニーらしさ”が感じられる。その最新の取り組みを追う。
■2016年1月20日まで支援を受け付けている「AROMASTIC」
現在、クラウドファンディングによる支援を受け付けているのが、5つの香りで気持ちのスイッチを切り替えることができる「AROMASTIC(アロマスティック)」だ。SONY独自の技術Scentents(センテンツ)(TM)により、複数の香りを閉じ込め、長期間その香りを保持できることを可能にしている。リップスティック大のコンパクトな容器には5つの香りを閉じ込めたカプセル状のものが入っているのだが、気分に応じて好きな香りを選んで楽しめるというのが、アロマスティックならではのポイントだ。
本体上部をカチカチと回して、香りの種類を選び、サイドの丸いボタンを押すとトップからアロマが香ってくるという仕組み。押している間だけ香りがする。アロマの監修はニールズヤード レメディースのアロマセラピストが監修した天然植物からとれる香りを使っている。
香りが人の心や体にもたらす力は大きく、ほんの少しの香りでも気持ちを切り替えたり、元気にさせたり、リラックスさせたり、安らかな眠りに導いたりすることができる。入眠をスムーズにしたり、眠りの質を高めるのに大きな役割を果たすものとしても「香り」は重要なファクターになる。これは温度、湿度、音、明かり(光)などよりも優先順位が高いとさえいわれているほどだ。
とはいえ、どんな時にどんな香りがいいのかは、個人の好みがあるので一概にはいえないのが香りの難しさでもある。だが、このアロマスティックなら香りを限定しないで複数(5種類)を持ち運べ、自分の気持ちのスイッチを切り替えたいときに、自分だけに香りを届けることができる。
朝、目覚めたばかりのときに、よりスッキリとさせるために選ぶ香り、会議の後に高揚した気分を落ち着かせてくれる香り、ベッドに入る前にねむりのスイッチを入れてくれる香りなど、たった1つのスティックで届けてくれるのはとても素晴らしいことだ。
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2015.07.10
2015.07.24
株式会社神原サリー事務所 代表取締役/顧客視点アドバイザー
新聞社勤務を経て、フリーランス・ライターに転身。マーケティング会社での企画・広報などを兼務した後、顧客視点アドバイザー&家電コンシェルジュとして独立し、2008年に株式会社神原サリー事務所を設立。「企業の思いを生活者に伝え、生活者の願いを企業に伝える」ことをモットーに顧客視点でのマーケティングを提案している。