反抗期は子どもが、大人になっていく一つの「通過点」だ。親の価値観から距離を置いて、自分なりの価値観を打ちたてようとすることだ。親は反抗期に入った子供をくれぐれも、「何でこんな子どもになってしまったのだろう?」と嘆かないでほしい。子どもは、もう素直なあの頃には戻れない。今度親の前に現れる時は、素直な大人として戻ってくるか、たくましい大人として戻ってくるかしかないのだから。
反抗期は、オリジナルな自分、自律へのスタート地点
子どもが成長し大人になる自我形成において重要なことは、親の価値観をど
ういう風に掴み直すかということだ。人間は、生まれて直ぐに親にめぐり会い、
自分の自我のモデルに無意識のうちに親を立てる。好むと好まざるとに関わら
ず、親が自分の中に自然に入っている状態だ。そして、生まれて1年も経つと、
子どもは親をモデルにして、社会生活を徐々に始めることになる。
子どもの活動領域が、徐々に拡大していくと、色々な個性を持った友人たち
とつき合うことになって、親との葛藤とは違う様々な葛藤を経験することになる。
そして、そういう経験を積んでいくと子どもは10歳から15歳前後で、とうとう
存在の疑問に突き当たるのだ。
この存在の疑問が、自律(親の価値観からの独立)のスタートだ。自分とは
一体なんだろう? 自分は自分で、親は親だ。自分は何のために生まれてきた
のだろう? こんな疑問が、徐々に自分の中で生まれては消え、消えては生ま
れるようになる。この時期から、子どもは、俗に言う「反抗期」に入っていく。
今までは、親の価値観に根本的に反抗していたわけではないが、この時期か
ら、子どもの多くは、根本的に親の価値観に異議を申し立てていく。素直に従
わなくなる。子どもが、大人になるということは、親の価値観から一旦距離を
置いて、自分なりの価値観を打ちたてようとすることだ。親の全くの複製を拒
否して、オリジナルな自分になろうとすることだ。だから、親への反抗が出て
くるのだ。
反抗期を歓迎し、子どもの良い点に注目して、そのことを認めてあげよう!
反抗期に入ったら、親は、以前の子どもの素直だった時の子ども像を求める
のではなく、まずは「反抗期」的な兆候を良しとすることだ。大人になってい
く一つの「通過点」だと考えて、「反抗期」を歓迎することだ。くれぐれも、
「何でこんな子どもになってしまったのだろう?」と嘆かないことだ。大人に
なるステップを自分の子どもが歩みだしたのだと思うことだ。この心構えを忘
れないようにして欲しい。
子どもが親の価値観から離れようとしている時が、実は非常に不安になる時
だ。そういう時に、子どもの「反抗期」的兆候を直そうと必死になってはいけない。
それよりは、「反抗期」的兆候の中からでも、子どもの良い点に注目して、
そのことを認めてあげようとして欲しい。
子どもは、もう素直な子どもには戻れない。今度親の前に現れる時は、素直
な大人として戻ってくるか、たくましい大人として戻ってくるかしかないのだ。
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2008.01.30
2008.02.10
合資会社 マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表
1961年、神奈川県横浜市生まれ。 現在、合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表。 NPO法人 ピースコミュニケーション研究所理事長。