ユーザー数250万人、導入企業数2万6000社。2007年9月遂にIBM「Lotus Notes」を抜いて国内グループウェアのシェアナンバーワンの座を勝ち取ったサイボウズ。創業時にはベンチャーキャピタルから「勝負にすらならない」とまともに相手をしてもらうことさえできなかったベンチャーは、わずか10年でIBM、マイクロソフトなどのビッグネームを打ち負かすまでに成長した。同社の奇跡的ともいえるサクセスストーリーの真相を青野社長に伺った。
「ところが、これが大失敗。グループ会社の業績が悪くて下方修正を出してしまいました。一世一代のショックでしたね。社長を辞めようかと悩むところまで追いつめられました」
悩みに悩んだ氏が手に取ったのが松下幸之助氏の著作だった。その中で出会った一文が、経営者としての青野氏を変える。
「『真剣に志を立てれば、ことは半ば達せられる』。これを読んで、果たして自分は『真剣に』命懸けでやっていたのかと反省したんです。そりゃ確かにそれなりに頑張っては来たかもしれない。でも、がんばることの延長線上に、命懸けはないんですよ」
ただ『頑張る』から『命懸け』へ。非連続なギャップを乗り越えて次のステージに立てるかどうか。そこに賭けた青野氏は、本業への集中を打ち出す。自分たちが得意なこと、価値を提供できる分野はグループウェアしかない。それならグループウェアで世界で一番使われるソフトを目指そう。明確な絞り込みがなされ、その方向で着実な成長をめざした結果がシェアナンバーワンへとつながった。
「急成長ではなく永続安定成長でいいんです。所詮、僕らはありんこなんだから、ありんこの歩み方を続ければいい。だからといって決して望みを低く置いているわけじゃない。トヨタさんが70年かけて世界一になってるわけでしょう。それを考えれば、僕らだってあと60年かけて世界トップを目指せばいいかなと」
最近、サイボウズ社内で流行っているキャッチフレーズがある。『グループあるところサイボウズあり。サイボウズあるところチームワークあり』。この言葉が意味するのは、まさにサイボウズのこれからの姿だ。
「人の集まりをグループと再定義すればどうなりますか。家族だってグループだし、地域のコミュニティも同窓生の集まりも、みんなグループになるじゃないですか。そうやって人の集まる場を活性化したり、サポートするためのツールこそが本来のグループウェア、つまり我々サイボウズの目指すところなんですね」
任天堂がゲームを再定義し、計算や漢字までをゲームとすることで世界で飛躍したように、グループウェアの本質を常に求め続け、絶えざる革新に挑み続けるサイボウズはきっといつの日か世界中で、いろんなグループに属する人々が使うデファクトソフトとなる。同社を率いる青野氏の言葉からはそんな可能性を強く感じた。
↑愛車のママチャリで出社する青野社長。
東証一部上場でも自転車通勤する姿勢に「ありんこ魂」が見える。
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FMO第3弾【株式会社サイボウズ】
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2008.01.08
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2007.12.18