企業にとって大切な人材の優先順位をどのように位置付けているか? パフォーマンスが高い人材、企業理念や行動指針に同意して行動してくれる人材の組み合せを2軸で検討してみて、現在の社員がどこにプロッティングされるかを確認してみる。プロッティングされた人材ごとに、どのように対応するかを見てみたい。
◆360度フィードバックシステムの新たな活用と人事評価制度
会社にとって大切にしている人材の優先順位をつけてみて、制度も現実も一致しているか確認をしてほしいと思います。一致していなければ、制度を変えるか、本来のあるべき姿に是正するかです。本来のあるべき姿に是正する場合は、企業文化の変革が必要となるでしょう。
このような場合の変革には360度評価システム、360度フィードバックシステムを導入し、それを人事評価制度に直結させます。多くの企業では、360度フィードバックシステムを人事評価に用いることはしていません。それは、むしろ人事評価のバラツキを押さえることができないと思っているからです。評価者訓練を受けていない部下や同僚から評価されること自体に誤差を生むと思っているからです。間違っていませんが、正解でもありません。
人はどのように評価されるか気になります。そのため、漠然とした360度フィードバックシステムを使うのではなく、評価する項目に企業理念に関する言動や行動指針に基づく日々の活動が、上司だけでなく同僚や部下から見ても確認できる必要があります。そのような確認しておきたい項目を定義し、全員にオープンにし、その重要性と教育しておくことが大切です。この場合、質問事項はカスタマイズしなければ使えないでしょう。でも、その価値は大いにあります。
これらが定着してくると、企業の価値観に対して無視して成果を出しても、評価してくれない企業文化が醸成されるのです。このような企業文化を創り出し、それを反映させた人事制度の構築が重要課題となるのではないでしょうか。
企業理念の実行や行動指針、使命を果たすことは、確かに数字で評価できないことのほうが多いでしょう。人事評価制度のように、評価者訓練を何年も受けていても、”人の好き嫌い”で評価する上司が減りません。相性が合わない関係にあるにも関わらず、感情抜きで評価できる上司はスーパー上司でしょう。そんなスーパー上司を生み出すことも大切ですが、同時に、誰の目から見ても、たとえ評価者訓練を受けていなくても正しいことは正しいと言える環境と仕組みの一部を360度フィードバックシステムに組み込むことは決して難しいことではありません。企業文化を変革したいのであれば、360度フィードバックシステムを検討してほしいですね。これまでの経験では、平均1年以内で文化が変わっていきます。すぐに結果がでてきます。
「このままでは、君の活躍の場所はなくなるかもしれない」と注意をしつつも、企業の価値観に合わせてもらうための教育をしていく方法、つまり、「モグラ叩きの回答」と、「モグラが出てこないための回答」、人材のプロティングで他者も割出し、人事評価制度や360度フィードバックシステムを検討してみる方法をお伝えしました。
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2018.05.12
2009.02.10
戦略人財コンサルタント 代表
人事の役割は、グローバルでは2005年あたりから大きなパラダイムシフトが始まりました。それは、社員の自己実現を達成させる仕組み、制度、支援を人事が行うことです。社員が安心して会社で最大のパフォーマンスを発揮し、それが経営目標の達成、さらには事業発展に貢献できる仕組みを人事が担当する時代になったのです。 人事機能を運用管理するだけの役割は、グローバルの優良企業にはもはや1社もありません。 このような人事の役割の変化と事業の発展は等しく関係しています。日本企業の真のグローバル化、世界で戦う人材のマネジメントを行う人事部門の再構築の支援をさせて戴いております。