一事が万事、一事が一事。

2008.01.09

ライフ・ソーシャル

一事が万事、一事が一事。

寺西 隆行
(株)Z会

先ほど、Yahoo!を見ていたら、こんなトピックスが。 タイトル:「三角形は曲線」教員を分限免職 新聞(スポーツ報知さん)記事そのもののタイトル: 「地図の上は北で下は南」??あきれた教師、分限免職

もっとも、僕と交流がある「素晴らしい教師」の皆さんは、「ダメ教師」の事例を見聞きしたら、反論するのではなく、自らも当事者意識を持ち、「申し訳ない」という思いと、「教師全体の底上げをしなければ!」と強く、かつ前向きに考えてくださる方ばかりですし、だからこそ「素晴らしい」と思えるわけですけど。
そんな先生も世の中には沢山いることも、こちらで断っておきます。

【一事が一事】

今回は分限措置まであったことや、「生徒や保護者から訴えが続いた」という表現があることからも、この先生自体に問題があったのはほぼ間違い、とは思います。
しかし、「取り上げられた(オカシイ、とされる)例」だけでは、誤解を恐れずに申し上げれば

「どこが“とんでもない”の?」

と感じるのが正直なところです。

もちろん、ミスは「好ましくない」ですけど、ミスを“やってしまう”のも人間と言うもの。
思い込みもあるもの。
「今まで正しいと信じていた知識」に誤りがある場合だってあるでしょう。

こちらで指摘した間違いは、「(高校数学の教師として、いかなるシチュエーションであれ)絶対にやってはいけない」と感じたので取り上げたわけですけど、今回取り上げられた例は、一見「ええっ!?」、だけど、ほんとにそう?と感じます。

・「三角形は一つの曲線と二つの曲線に囲まれる」

これ、全く、どのようなシチュエーションで話された言葉か想像がつかないのですが…
「直線を曲線って言ってる!この教師、バッカで~」と思うのであれば、それは違います。
直線も曲線の一種。「三角形は3つの直線で囲まれてできますね。だけど、直線も曲線のうちだから、広い意味で“3つの曲線に囲まれている”と言っていいんだよ」と教授するのは、逆に立派な教え方といえます。

この教師がそう教えていたとは思えないんですけど、だからといって「曲線なわけないじゃん」というのもまた違う。そこだけ見るのはおこがましいと感じます。

・「地図の上は北で下は南」

「正しい知識」ではありませんが、「特別支援学級(今回の教師が受け持っていた学級)」の生徒に教えるときの表現では、いたって普通ともいえます。
それすらわからない人がいるときに、地図で視覚化、上下という表現で脳内イメージ化がしやすいですし。
加えて、未だに僕だって、車の助手席でナビゲーションするときに、「その蕎麦屋さん上の方にあるよ」なんてぽっと出ること、ありますし。

もっとも、「地図の上は北で下は南」と語ったシチュエーション、これまたわかりません。
「地図の見方と方位の対応の仕方」を教える授業のとっかかりであれば、問題ない場合もあるでしょうし、そもそも北が↑で示されている地図を用いて、北が上方ではないときにそう教えるのであれば、明らかにおかしいですし。

次のページ判断するのは自分自身。信じられるのは事実のみ。

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寺西 隆行

寺西 隆行

(株)Z会

文部科学省広報戦略アドバイザー 経済産業省「未来の教室」教育・広報アドバイザー 三島市GIGAスクール推進アドバイザー 等

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