特に調達購買部門として市況・景況・為替などの動向を把握し、分析し、予測し、情報提供や意思決定を行っていくことが役割として高まっているというお話です。
こういう時代には今まで以上に市況や景況、為替動向などに対して調達購買部門に情報収集能力や分析能力、予測能力や情報提供力が求められるのです。
既に米国や中国では景気指標でPMIという調達購買の視点がとても重要視されています。PMIは、"Purchasing Manager's Index"の略で、米国や中国ではISM(サプライマネジメント協会)が発表しています。「購買担当者景気指数」とも呼ばれ、将来の景気動向を占う「先行指数」として注目されています。米国FRBはPMIが50.0を下回っている(景気下落傾向)局面では利上げを実施したことが無いため、FRBがそれだけPMIを重要視していることがここからもよく分かります。
PMIは原材料や部品などを調達する役割の購買担当者が景気判断を行うので、市況や自社の受注状況、生産計画などが反映されやすく、数ヵ月先の景気動向を敏感に映すといわれているからです。
日本でも従来は日本資材管理協会がPMIを公表していましたが、正直今まではあまり大きく取り上げられたことはありませんでした。しかし、今年の7月からは日経新聞がアジア13か国のPMIを発表するようになり、最近は日経新聞紙面でPMIを大きく取り上げるようになりました。
つまり市況、景況、為替などの動向について日本においても今までよりバイヤーの視点を重視する方向に向かいつつあるということなのです。考えてみれば当たり前のことです。
何故なら一番情報がタイムリーに集まりやすく、その情報提供ができる部門ですから。
また、市況、景況、為替などの動向判断は現状の不透明な先行きや品目や国毎に異なった状況にあることからより一層経営的に重要な意思決定となっています。そういう点からバイヤーにとってより一層タイムリーかつ正確な情報提供だけでなく予測や意思決定も行わなければならないと言えます。私はバイヤーがこういう能力を磨く必要性が一層増えてきていると言いたいのです。
2015年に入り新聞記事で日本企業の国内生産回帰が報道されています。しかし生産回帰や海外調達に関しても国内回帰する方向ばかりではありません。これらの意思決定は、各企業毎に異なっています。このような戦略は数年後にその企業の競争力の優劣に結びつくものです。どちらにかじ取りするかは、正に企業としての重要な意思決定と言えます。どこで生産するか、どこから買うか、だけでなく、いつ買うか、どれ位買うか
というのも今後は企業の収益に直結する重要な意思決定になってきます。
このような重要な意思決定や意思決定のための予測、情報提供能力がバイヤーにますます求められる時代になってきたのです。
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2016.04.06
2016.05.06
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。