2015年に中1生になった子どもたちが大学受験をする6年後、2021年度入試から大学入試のあり方が大きく変わります。この改革の問題点とは!?
どうです。従来の受験とは様変わりした内容ですよね。
上記の入試は2017年からお茶の水女子大学で実施される新型AO入試(新フンボルト入試)の大まかな仕組みです。ちなみに、「プレゼミナール」は高2生も受講できます。
このような入試が、2021年度以降の大学入試では増えることが予想されています。
公平性の議論にまで踏み込んでいる中教審
大学入試改革を議論している中教審が2014年12月が発表した答申は非常に刺激的な内容でした。答申から引用してみましょう。
「大学入学者選抜の改革を進めるに当たっては、『大学入試センター試験』の抜本的改革が 必要であるが、それは全体の改革の一部にすぎない」
と前置きしたうえで、
「何よりも重要なことは、個別選抜を、画一的な一斉試験で正答に関する知識の再生を問う評価に偏ったものとしたり、入学者の数の確保のための手段に陥らせたりすることなく、「人が人を選ぶ」個別選択を確立していくことである。「人が人を選ぶ」個別選抜とは、(中略)大学の入り口段階で求められる力を多面的・総合的に評価するという、個別選抜本来の役割が果たせるものにすることである」
とします。
個別選抜とは各大学で独自に行う入試。国公立大学では、いわゆる二次試験です。
さらに議論は広がり、「公平性」に関する社会的な意識へも踏み込んでいきます。
「大学入学者選抜を含むあらゆる評価において、画一的な一斉試験で正答に関する知識の再生を問い、その結果の点数だけを評価対象とすることが公平であると捉える、既存の「公平性」についての社会的意識を変革し、それぞれの学びを支援する観点から、多様な背景を持つ一人ひとりが積み上げてきた多様な力を、多様な方法で「公正」に評価するという理念に基づく新たな評価を確立していくことが不可欠である」
とします。
この答申の最も重要な点は、私は、「人が人を選ぶ」という視点だと思います。
メリトクラシー(形式化した業績主義)を廃して、ハイパーメリトクラシー(形式化できない業績主義:いわゆるヒューマンスキル・コミュニケーションスキル等の状況適応型能力)を求める大学入試になるということです。
できる子どものための改革!
できない子どもはどうなる?
この改革が小中学校=義務教育レベルまで浸透していけば、どういう結果になるのか。
私は、非常に怖い予想をしています。
この改革により、学習内容自体があいまいになり、何を目指して学習をしていけばよいのか、具体性に欠けることになると、子どもたちの中で志向性の強い子どもとそうでない子どもで大きな学力差がついてしまう可能性ががあります。また、達成感を持たせにくいゴール設定で学習に対するモチベーションが上がりにくいという欠点もあります。
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2015.07.17
2009.10.31
合資会社 マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表
1961年、神奈川県横浜市生まれ。 現在、合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表。 NPO法人 ピースコミュニケーション研究所理事長。