2015年に中1生になった子どもたちが大学受験をする6年後、2021年度入試から大学入試のあり方が大きく変わります。この改革の問題点とは!?
日本の教育が、大きく変わろうとしています。
2020年の高大接続改革(いわゆる大学入試改革)は、1979年の共通一次試験
(センター試験の前身)の導入を超える多大なインパクトを与える改革となるはずです。
42年ぶりの大改革となる2020年の大学入試改革は、単に「センター試験」が廃止
され、新たに「高等学校基礎学力テスト(仮称)」や「大学入学希望者学力評価テスト
(仮称)」といった新テストが導入されるというシステム上の問題ではありません。
この改革のインパクトの強さは、
大学入試で問われる中身が変わる点に由来します。
つまり、高校までに子どもたちが習得すべき教育のゴールが変わり、
そのプロセスも変わるのです。
「思考力・表現力」までが問われるようになる!
昨年12月に中教審が出した答申を読むと、この改革は、大学入試制度以上の広がり
のある「高校出口改革」であることがわかります。
高校生までに身につけるべき能力は、従来通りの「知識・技能」に加えて、
「思考力・判断力・表現力」、そして「主体性」にまで拡げられています。
大学入試では「知識・技能」の確認に留まらず、その「知識・技能を活用する力」、
「思考力・表現力」までが問われることになるのです。
たとえば、英語の問題であれば、英作文では従来は、単語力や文法力があれば解けるよ
うな設問が中心でしたが、これが2021年度入試以降は、自由英作文が主流となり、
単に和文英訳ができるというだけでなく、どのような状況で伝えるのか、
あるいは自分の主張を盛り込んだ解答が必要となってくるわけです。
こんな入試システムが増える!?
英作文といった特定のジャンルですら、入試の出題傾向が変わるのがですが、入試のあ
あり方そのものも大きな変革が行われるでしょう。
たとえば、以下のような入試システムを読者は、どんな風に考えるでしょうか?
①まずは選考以前に文理複数科目の講義・演習(実験)、情報検索・レポートの書き方講座を受講し、そのレポートを提出する。これを「プレゼミナール」と呼ぶ。
② 一次試験では、プレゼミナールのレポートや志望理由書に加えて、国際バカロレア資格、TOEFLの点数なども加味され、判断材料とされる。
③ 二次試験は、3日間にわたって実施。文系は「図書館入試」、理系は「実験室入試」という名称で、文系は図書館の資料を基に課題レポートを作成して発表。また理系は、講義やグループ実験、レポート作成などを行う。
次のページ公平性の議論にまで踏み込んでいる中教審
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2015.07.17
2009.10.31
合資会社 マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表
1961年、神奈川県横浜市生まれ。 現在、合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表。 NPO法人 ピースコミュニケーション研究所理事長。