ドローン規制は業務用と趣味用を分けて議論せよ

画像: The Telegraph

2015.06.17

経営・マネジメント

ドローン規制は業務用と趣味用を分けて議論せよ

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

このままではドローン規制はこのイノベーションの意義を極小化し、社会的な効用をほとんどもたらさないことに陥りかねない。少なくとも業務用と趣味用は扱いを分けるべき。

肝心なのは、適用場面とその安全面を考えて必要最低限の規制をすればいいだけの話だ。そのためには少なくとも業務用と趣味用とは全く思想と取扱いが違うべきなのである。

現在の技術レベルでさえ、素人でもある程度練習すれば結構上手に飛ばせるほど今のドローンは手軽なのだが、やはりそこには趣味の無責任さが伴う。一般人が技量を維持・向上するために真面目に練習する保証はない。

そのため、一般人が趣味用に飛ばす場合は、住宅密集地の上空だけといわず、人の集まる公園など公共の場所での飛行を禁止するのも妥当だろう。

でも業務用であれば、社会的責任を果たすため、そして何といっても事故を起こさないため、担当者は自己の技量を向上し保つ努力を惜しまないだろうし、監督者は自らの責任において担当者にそうさせるだろう。

事故が起きれば操縦担当者および監督者が責任を問われるのも、やむを得ない。そうしておけばドローンの飛行安定性が相当高まるまでは、業務用といえど、都市や住宅地などの上空を不必要に飛ばす業者は現れないだろう。

そのために業務用については、当面は免許制にすることも妥当だと思う。

しかしその場合、多少は技量が必要なものとしないと意味がないと思うが、ドローンの飛行安定性に関する自動制御技術は今後飛躍的に進歩するだろうから(日本での規制とは無関係に海外でも進化する)、免許のための試験はどんどん陳腐化して無意味化することが目に見えている。多分、この免許が本当に必要とされる「当面」というのは10年程度だろうか。

一方、「素人の趣味用であろうと免許制にせよ」との意見も政治家には強いようだが、あまり意味はないのではと思える。

既に述べたように、趣味用で飛ばす分にはそもそも大した技量を必要としない程度には今のドローンの性能がよくなったので人気になっているのだ。誰でもすぐできる簡単な飛行をさせて免許を与えてやる、などとやったら、役所が免許代をせしめるためだけの無駄な制度だと猛反発されよう。

かといって高度な技術を要する免許にしてしまえば、かえってお墨付きを与える格好になって、アクロバティックな飛行やきわどい所を飛ばす誘惑を素人に与えることになったら本末転倒だ。

話を整理しよう。一般人が趣味でドローンを飛行させる場合には免許不要とすべきで、その代わり目視できる範囲でしか飛ばせない、(空港周辺や特別重要な施設以外にも)居住地や公共の場所など人の集まるところでは飛行禁止とする。

一方、業務用にドローンを飛行させる場合には当面の適切な期間は免許を要し、もし事故が起きたら業務上過失○○罪などに問われ得る。行政府関係や原発施設など特別重要な施設の周辺以外は原則自由もしくは届出制とし、目視できることを要件にはしない。

こういうことでよいのではないだろうか。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/                  弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/         代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/

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