10年前と今でやっていることが変わらない間接材購買について述べます。
間接材購買の特徴は大きく2つ上げられます。1点目は支出の把握がし難いことです。
間接材は管理会計上では固定費に含まれますが、まれに生産高や売上高などに応じて発生する変動費用的な支出もあります。また財務諸表上は製造原価、販売管理費、償却費の3つの部分に含まれており、全体像の把握が難しいという特徴があります。
また直接材と異なり、品番という概念がありません。ですから必要量の管理もできませんし単価とか原単位という概念もありません。つまり精度の高い管理がし難いのです。
2点目の特徴は関連する人(会社)の多さです。先ほども触れたように間接材は非常に多岐に渡るため、支出金額や買いモノをする回数も品目毎に大きく異なります。
また多岐に渡る品目のため、多くのサプライヤとの取引が発生しています。また社内で実際に支出を行う人間も多岐に渡るのが一般的です。品目によっては例えば事務用品など社員全員が支出をする場合もあります。所謂社員全員がユーザーになり得るのです。
このような2つの特性を持つために、間接材購買は今まで企業が管理してきた直接材購買とは異なったアプローチが必要になります。
やっと本題に入りますが、10年前と比べて間接材購買は進歩がない、と述べましたがいったい、何が進歩していないのでしょう。
まず上げられるのは間接材購買の活動内容です。
先のCaps Research社のレポートでも取り上げられていますが、間接材購買の活動は、まずはコスト削減活動を中心に進められます。コスト削減機会があるのですから、当然と言えば当然です。その場合最初に実施するのが支出分析です。どのような品目の支出が大きいのか、当然のことながら支出金額が大きくコスト削減の期待値が高い品目から取組みます。また品目によってコスト削減がし易い品目とそうでない品目があるでしょう。例えば、マーケットの状況で、そもそも競争相手がいない、とか集中契約が結べないような品目はコスト削減が難しいことは誰もが理解できます。
このように期待効果と難易度のマトリクスでコスト削減を進めていくのが、ごくごく一般的なコスト削減のアプローチになります。しかし、このようなアプローチでコスト削減を推進すると多くの企業で優先順位が高い品目は自然と共通化してきます。
また、各社で共通してでてくる課題は社内の調整です。多くの企業で間接材購買チームはマネジメントの思いつきで2-3名のチームとして初期の立上げを行う場合が多く、このようなチームが社内的に強い立場である訳がありません。
ですからコスト削減の機会として抽出されてもコスト削減の実行が必ずしも進められる訳ではないのです。自然と各社ともやり易い共通した品目のコスト削減活動から推進しましょう、というのが通常の初期の取組みになります。
初期の取組みは長い企業でだいたい3年程度取組みます。しかし多くの企業では1-2年でチーム自体が無くなったり、チームのメンバー全員が入れ替わったりします。3年程度取り組み続けているチームの中にはコスト削減の品目範囲を広げることに成功したり、恒久的な組織作りができる企業もありますが、多くの企業では取組みは続けているものの、なかなか成果が長続きしないという状況に陥ります。
一方で、多く見られるのは、チームがなくなったり、チーム全員が入れ替わった企業です。
こういう企業では、再度景況悪化などの事業環境が悪化した際に同じ活動を始めます。
今までの支出分析や品目コスト削減のノウハウなどが全く活かされずに、新しいチームでまたコスト削減の目標を設定して、やり易い品目からコスト削減活動を再スタートするのです。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。