企業の内外製戦略は戦略的な意思決定です。現在は外作化だけでなく重要な部品やサービスを内製化することも重要な判断です。
興味深いのは内製化することで2割コスト削減できるということです。
多くの企業が社内での生産=高コストという構図に陥っています。そういう環境下で内製化することによってコスト削減が図れるとのこと。
以前私が係わっていたある企業のプロジェクトでも同様のケースがありました。
対象はある機能部品だったのですが、その企業にとっては非常に重要で、単価
も高く、コスト全体に占める比率も高い部品でした。従来は大手メーカーから購入
していましたがほぼ1社に依存している状況でした。尚且つ汎用的な部品が使用
できずにその企業固有の仕様となっていたことも高コストの原因となっていたのです。
このような状況ではコストを下げることは非常に難しい。何故なら、競争環境ができていないだけでなく、その機能部品を外作している大手メーカーにとっても美味しい商売ではないからです。
大手メーカーは汎用品を量産することにかけてはコスト競争力を持っていますが
一方で(彼らにとっては)少量品を生産することは大手メーカーの大規模な設備を使うことでかえってコスト高になっていました。
そこで私が参画したプロジェクトではその機能部品を内製化することを進めました。
一時的に設備投資は必要になりますが、その企業の需要に応じた投資に抑える
ことで、約30%コスト削減することができたと記憶しております。
このような状況は先のペットボトルでも同様のことが言えます。ご存知な方もいらっしゃるでしょうがペットボトル業界は比較的寡占な状況です。
大手の寡占状況の環境下、内製化することでコスト削減につなげるということは先ほどの機能部品での事例同様あり得ることでしょう。
このような内外作の判断はサプライヤとの力関係や業界全体の動向、自社のポジションや自社の事業の状況など様々な要因によって影響されてきます。
一般的にはサプライヤの強い業種や品目では、内製化を進めることでコスト削減
につなげ易いと言えるでしょう。
いずれにしても外作化だけでなく、内製化することも戦略的な代替案として考えられるのが現在です。ここで重要なのは調達購買部門が主体的な立場で内外製戦略の検討立案、実行に携わることです。先の機能部品の事例では、その企業の調達部門が既存サプライヤを説得し生産移転に関しての理解と技術支援を得ることにつなげました。このようなサプライヤとの折衝だけでなく、よい技術を持つ
サプライヤを社内に紹介することで価値のある外作化につなげる、現時点だけでなく、中長期的な視点で内外作決定の支援を行うなど、内外作決定に調達・購買部門が果たすべき役割はまだまだあります。
現状の自社製品におけるコスト構造を見える化し、内外作を変更することで、より
競争力を強化できる余地がないか、今すぐにでも検討できないでしょうか。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。